古物台帳の書き方|法律が求める5項目と「特徴」欄の具体例
古物台帳とは、古物商が古物を受け取ったとき・引き渡したときに、その都度つける帳簿です。書く項目そのものは多くありません。古物営業法16条が求めているのは5つだけです。にもかかわらず警察の立入りで指摘されるのは、たいてい決まった場所に集中します。「特徴」欄の書き方と、受入れ・払出しの区別、そして保存期間の起算日です。
この記事では、古物営業法16条が定める記載事項と、警視庁が公開している別記様式第15号の備考にそって、実際に何をどう書くのかを整理します。まず全体像から見てください。

この記事の内容(12項目)
- 古物台帳の記載事項は5つ|法律が求めているのはここまで
- 古物台帳の「受入れ」「払出し」の書き方
- 紙でなくてもよい
- 古物台帳の「品目」は一品ごとに書く
- 古物台帳の「特徴」欄の書き方|公式の記入例がある
- 共通しているのは「他の同種品と見分けられるか」
- 相手方の記載を省略できる場合がある
- 古物台帳に書かなくてよい取引がある|引渡しの記載義務
- 受け取るときは区分ではなく金額で決まる
- 古物台帳と本人確認|1万円未満でも確認が必要な古物
- 古物台帳の「確認措置の区分」に何を書くか
- 1号でいう「確認」の中身
- 2号の署名は「面前で、ペンで」
- 対面しない買取の古物台帳|確認方法は11通りある
- 「保存が条件」になっている号がある
- 古物台帳の保存期間は「最終の記載をした日」から3年
- 古物の13区分と古物台帳の書き方の関係
- 古物台帳を書かなかったときの罰則
- よくある質問
古物台帳の記載事項は5つ|法律が求めているのはここまで
古物台帳の記載事項は5つです。古物営業法16条が、売買・交換のため、または売買・交換の委託により古物を受け取ったとき・引き渡したときに、その都度、次の事項を記載することを求めています。
| 号 | 記載事項 | 書き方のポイント |
|---|---|---|
| 1号 | 取引の年月日 | 受け取った日・引き渡した日。伝票の起票日ではありません |
| 2号 | 古物の品目及び数量 | 一品ごとに書きます |
| 3号 | 古物の特徴 | その一点を見分けられる情報。あとで詳しく |
| 4号 | 相手方の住所、氏名、職業及び年齢 | 自動車を引き渡した相手方は除きます |
| 5号 | 法15条1項によりとった措置の区分 | 本人確認の方法。1号・4号は方法まで |
逆にいうと、ここに無いものは法定ではありません。よく見かける「買取価格」「担当者名」「在庫番号」といった欄は、あっても構いませんが実務欄です。
ただし代金と古物の区分だけは入れておくことを強くおすすめします。あとで説明する「1万円の判定」と「引渡し時の記載義務の判定」が、この2つが無いとできないためです。
古物台帳の「受入れ」「払出し」の書き方
古物台帳の様式は、別記様式第15号です。施行規則17条1項が定めています。この様式は「受入れ」と「払出し」の2つのブロックでできていて、警視庁が公開している備考には、それぞれの「区別」欄に書く言葉まで指定があります。
受入れの「区別」
- 買受け
- 委託
払出しの「区別」
- 売却
- 委託に基づく引渡し
- 返還
紙でなくてもよい
法律が定めているのは記載事項であって、様式そのものではありません。施行規則17条2項は、記載すべき事項を取引の順に記載できる書類や、取引伝票その他これに類する書類でもよいとしています。
伝票方式にする場合は、同条3項により取引の順にとじ合わせることが求められます。バラバラのまま箱に入れておくのは要件を満たしません。
電磁的方法による記録も認められています。ただし法18条1項により、記録をした日から3年間、直ちに書面に表示できる状態にしておく必要があります。Excelで管理する場合も、求められたらすぐ印刷できることが前提です。
古物台帳の「品目」は一品ごとに書く
古物台帳の品目欄は、一品ごとに書きます。別記様式第15号の備考2が定めています。同じ日に同じ人から3点買い取ったなら、まとめて1行にせず3行に分けます。
正しい書き方
- 腕時計|数量1
- ネックレス|数量1
- 指輪|数量1
指摘される書き方
- 貴金属一式|数量3
- まとめ買い|数量1
- 雑貨|数量5
「文庫本 12冊」のように種類が同じものはまとめられます。判断に迷ったら、あとで1点を特定して照会できるかで考えてください。

古物台帳の「特徴」欄の書き方|公式の記入例がある
古物台帳の特徴欄には、公式の記入例があります。警視庁が公開している別記様式第15号の備考3に、そのまま使える3つの例が載っています。古物台帳の書き方でいちばん迷うのがこの欄です。
| 区分 | 備考にある記載例 |
|---|---|
| 衣類 | 上衣、シングル、鈴木のネーム入り、チョッキ、ねずみ色裏付き、ズボン、後ポケットふたなし |
| 時計 | オメガ、何型、何番、文字板に傷あり |
| 自動車 | 自動車検査証に記載され、又は記録された自動車登録番号又は車両番号、車名、車台番号及び所有者の氏名又は名称等 |
共通しているのは「他の同種品と見分けられるか」
3つの例に共通しているのは、その一点を他の同じような品物と区別できる情報になっている点です。「時計」「洋服」だけでは足りません。
盗品の追跡照会が来たときに、この欄だけで品物を特定できるかどうかが実質的な基準になります。ブランド・型番・製造番号・傷や汚れの位置といった、あとから照合できる情報を書いてください。
相手方の記載を省略できる場合がある
備考には、現に使用している帳簿に既に住所・氏名・職業・年齢が記載してある相手方については、氏名以外の事項で異動のないものの記載を省略できると書かれています。
常連の方の取引で毎回フルに書き直す必要はない、という趣旨です。ただし省略すると、あとから見た人がどの記録を参照すればよいか分からなくなります。備考欄に「通番○と同一人」と残しておくと追えます。
古物台帳に書かなくてよい取引がある|引渡しの記載義務
古物台帳は、引き渡したときは書かなくてよい取引があります。法16条のただし書を受けて、施行規則18条1項が「記載を要しない古物」を定めています。ここが古物台帳でいちばん誤解されている点です。
条文の書き方が二重否定で読みにくいのですが、結論はこうです。引き渡したときに記載義務があるのは、次の4区分だけです。
引渡しでも記載が必要
- 美術品類
- 時計・宝飾品類
- 自動車(部分品を含む)
- 自動二輪車及び原動機付自転車
引渡しの記載は免除
- 衣類
- 書籍
- 写真機類
- 事務機器類
- 機械工具類
- その他の区分
受け取るときは区分ではなく金額で決まる
規則18条1項の免除は引き渡したときの話です。買受け・委託で受け取るときは、区分では外れません。
ただし受入れにも別の免除があります。法16条ただし書のもう一方、法15条2項1号により、対価の総額が1万円未満の取引は確認も記載も不要です。受入れの判定は区分ではなく金額で決まる、と覚えてください。
「衣類は書かなくていい」と区分で覚えてしまうと、1万円以上の買取まで書かなくなります。これが実際によくある指摘です。
書かなくてよい取引の判定そのものは、受入れと引渡しで根拠が分かれます。3つの免除をまとめて整理したものは古物台帳に書かなくてよい取引にあります。

古物台帳と本人確認|1万円未満でも確認が必要な古物
対価の総額が1万円未満の取引は、本人確認も台帳への記載も不要です。根拠は法15条2項1号で、金額は施行規則16条1項が1万円と定めています。
法16条ただし書が「前条第二項各号に掲げる場合」を記載義務からも外しているため、確認が要らない取引は記載も要りません。この2つは連動しています。
ただし規則16条2項に例外があり、次の7種類は金額にかかわらず確認と記載の両方が必要です。
| 号 | 1万円未満でも確認と記載が必要な古物 |
|---|---|
| 1号 | 自動二輪車及び原動機付自転車(汎用の部分品を除く部分品を含む) |
| 2号 | エアコンディショナーの室外ユニット及び電気温水機器のヒートポンプ |
| 3号 | 専ら家庭用コンピュータゲームに用いられるプログラムを記録した物 |
| 4号 | 光学的方法により音又は影像を記録した物(CD・DVD等) |
| 5号 | 電線 |
| 6号 | グレーチング(金属製のものに限る) |
| 7号 | 書籍 |
古本の買取で1点500円だから不要、とはなりません。書籍は7号に入っているので、確認も記載も必要です。
なお、売却・交換の委託を受けようとするときも法15条1項の対象です。買い取っていないので代金は発生しませんが、確認は必要になります。

古物台帳の「確認措置の区分」に何を書くか
古物台帳の5号欄には、どうやって本人確認したかを書きます。条文の言い方では「法15条1項の規定によりとった措置の区分」です。どうやって本人確認したかを書きます。1号と4号を選んだときは、区分だけでなく方法まで書きます。
| 区分 | 内容 | 帳簿に書くこと |
|---|---|---|
| 1号 | 相手方の住所・氏名・職業・年齢を確認する | 区分+方法(何で確認したか) |
| 2号 | 住所等が記載された文書の交付を受ける(署名あり) | 区分 |
| 3号 | 電子署名つきの電磁的記録の提供を受ける | 区分 |
| 4号 | 施行規則15条3項に定める措置 | 区分+方法(どの号か) |
1号でいう「確認」の中身
施行規則15条1項は、1号の確認を身分証明書等の提示を受けるか、相手方以外で身元を確かめるに足りる者に問い合わせる方法によるとしています。
身分証明書等は「一を限り発行又は発給されたもの」に限られます。運転免許証、個人番号カードなどです。帳簿には「運転免許証の提示を受けた」のように、何で確認したかまで書きます。
2号の署名は「面前で、ペンで」
2号を選ぶときは要件が細かく決まっています。規則15条2項により、署名は古物商またはその従業者の面前で、万年筆・ボールペン等により明瞭に記載されたものでなければなりません。
あらかじめ書いてきた紙を受け取る形は要件を満たしません。また、記載された住所・氏名・職業・年齢が真正でない疑いがあると認めるときは、1号の方法で確認し直すことも同項が求めています。
対面しない買取の古物台帳|確認方法は11通りある
対面しない買取の本人確認は、施行規則15条3項の11通りから選びます。宅配買取やネット買取のように相手と会わない取引では、法15条1項4号を使います。中身は施行規則15条3項に11通り定められていて、どれか1つを満たせば足ります。
すべてに共通しているのは、まず住所・氏名・職業・年齢の申出を受けることです。そのうえで、次のいずれかを組み合わせます。
| 号 | 方法の要点 |
|---|---|
| 1号 | 印鑑登録証明書+その印鑑を押印した書面の送付を受ける |
| 2号 | 本人限定受取郵便を送り、到達を確かめる |
| 3号 | 代金を本人限定受取郵便(金品を内容とするもの)で支払うことを約す |
| 4号 | 住民票の写し等の送付、またはICチップの情報・本人確認用画像の送信を受け、転送不要の配達記録郵便を送って到達を確かめる |
| 5号 | 身分証明書等・住民票の写し等のうち2種類(または1種類+補完書類)の写しを受け、転送不要の配達記録郵便を送って到達を確かめる |
| 6号 | 住民票の写し等の送付を受け、同じ名義の口座へ振込むことを約す |
| 7号 | 身分証明書等の写しを受け、転送不要郵便の到達を確かめ、かつ同じ名義の口座へ振込むことを約す |
| 8号 | 自社提供のソフトで容貌と写真付き身分証明書を撮影・送信させる |
| 9号 | 自社提供のソフトで容貌を撮影・送信させ、かつICチップの情報の送信を受ける |
| 10号 | 面前で器具を使い、画面に表示される形で氏名を筆記させる |
| 11号 | 公的個人認証法の署名用電子証明書と電子署名つきの記録の提供を受ける |
「保存が条件」になっている号がある
見落としやすいのがここです。4号・5号・7号・8号は、条文のかっこ書きで帳簿等または電磁的方法による記録とともに、その画像や写しを保存する場合に限るとされています。
つまり、画像を確認しただけで捨ててしまうと、その号の要件を満たしていないことになります。帳簿とセットで残してください。
要件を満たす
- 本人確認用画像を受け取り、帳簿と一緒に保存している
- 転送不要の配達記録郵便で到達を確認した記録がある
- どの号の方法を使ったか帳簿に書いてある
満たしていない
- 画像を目視で確認しただけで保存していない
- 普通郵便を送っただけ(転送不要・配達記録でない)
- 帳簿に「本人確認済」としか書いていない
なお、2号・3号・6号・7号のように郵便の到達や代金の支払い方法が要件に入っているものは、買取の運用そのものを変える必要があります。使う号は先に決めて、帳簿の記載を揃えておくのが現実的です。
古物台帳の保存期間は「最終の記載をした日」から3年
古物台帳の保存期間は、最終の記載をした日から3年です。法18条1項が、その期間、営業所に備え付けることを求めています。
ここでよくある間違いが、起算日を「作成日」で数えてしまうことです。1年ずれるので、まだ備え付けが必要な帳簿を捨ててしまいます。
年数と起算日を業種横断で並べたものは会社に必要な書類の保存年数を業種横断で並べるにあります。起算日の取り違えは、古物台帳に限った話ではありません。たとえば点呼記録簿は「記録した日」から1年で、年数も起算日も別の決まりになっています。帳簿ごとに数え方が違うので、まとめて「何年」で管理すると合いません。
電磁的方法で記録している場合は、記録をした日から3年間、直ちに書面に表示できる状態にしておきます。
また同条2項により、帳簿をき損・亡失し、または滅失したときは、直ちに営業所の所在地を管轄する警察署長に届け出ることになっています。「気づいたら」ではありません。
古物の13区分と古物台帳の書き方の関係
古物は13の区分に分かれています。施行規則2条が定めているもので、許可を受けるときに扱う区分を届け出ますが、台帳の書き方にも直接効いてきます。
| 区分 | 引渡しの記載 | 1万円未満の受入れ |
|---|---|---|
| 美術品類 | 必要 | 不要 |
| 衣類 | 免除 | 不要 |
| 時計・宝飾品類 | 必要 | 不要 |
| 自動車(部分品を含む) | 必要 | 不要 |
| 自動二輪車及び原動機付自転車 | 必要 | 必要 |
| 自転車類 | 免除 | 不要 |
| 写真機類 | 免除 | 不要 |
| 事務機器類 | 免除 | 不要 |
| 機械工具類 | 免除 | 不要 |
| 道具類 | 免除 | 不要 |
| 皮革・ゴム製品類 | 免除 | 不要 |
| 書籍 | 免除 | 必要 |
| 金券類 | 免除 | 不要 |
表のとおり、自動二輪車と書籍だけが2つの列で違う扱いになります。バイクは両方とも厳しく、書籍は引渡しの記載は免除なのに、1万円未満で買い取るときは確認も記載も必要です。ここが混乱しやすい点です。

古物台帳を書かなかったときの罰則
古物台帳を書かないと、罰則があります。法33条2号は、法16条・17条に違反して必要な記載をせず、または虚偽の記載をした者を、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金と定めています。
| 条文 | 違反の内容 | 罰則 |
|---|---|---|
| 法33条1号 | 法15条1項(相手方の確認)に違反 | 6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
| 法33条1号 | 法18条1項(3年の備付け)に違反 | 同上 |
| 法33条2号 | 法16条・17条の記載をしない/虚偽の記載 | 同上 |
| 法33条3号 | 法18条2項(き損・亡失の届出)をしない/虚偽の届出 | 同上 |
実務上は、いきなり罰則が適用されるより先に指導が入ります。ただし「書いていない」と「嘘を書いた」が同じ条文に並んでいることは知っておいてください。あとから思い出して埋めるより、その都度書くほうが安全です。

よくある質問
- Q. 古物台帳は手書きでないといけませんか。
- いいえ。法18条1項は電磁的方法による記録も認めています。ただし、記録をした日から3年間、直ちに書面に表示できるようにして保存する必要があります。Excelで管理する場合も、求められたときにすぐ印刷できる状態にしておいてください。
- Q. 1日に何度も取引がある場合、まとめて書いてもいいですか。
- 法16条は「その都度」記載することを求めています。また別記様式第15号の備考は品目を一品ごとに記載することとしています。1日分をまとめて1行にすることはできません。
- Q. 買取価格は書かなければいけませんか。
- 法16条の記載事項には含まれていないので、法律上の義務ではありません。ただし1万円未満の取引は確認も記載も免除されるため、代金を残していないと「なぜこの取引を書かなかったのか」をあとから説明できなくなります。実務欄として持たせておくことをおすすめします。
- Q. 衣類を売ったときは本当に台帳に書かなくていいのですか。
- 施行規則18条1項により、引き渡したときに記載義務があるのは美術品類・時計宝飾品類・自動車・自動二輪車等の4区分だけです。衣類の引渡しは免除されます。買い受けたときは、対価の総額が1万円以上なら記載が必要です。免除される場合でも、在庫管理のために記録しておくこと自体は問題ありません。
- Q. 帳簿を紛失してしまいました。どうすればいいですか。
- 法18条2項により、直ちに営業所の所在地を管轄する警察署長へ届け出る必要があります。条文は「直ちに」となっています。
- Q. 古物市場主も同じ様式ですか。
- いいえ。古物市場主の帳簿は別記様式第16号です(施行規則17条1項)。記載事項も法17条で別に定められており、取引の年月日・品目・数量・特徴に加えて、取引の当事者の住所及び氏名を記載します。
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本記事は法令および官公庁の公表資料をもとに整理した参考情報です。法令への適合を保証するものではありません。実際の義務内容は e-Gov法令検索および所管官庁にご確認ください。内容は2026-08-21時点のものです。