古物台帳に書かなくていい取引|1万円未満の免除と、例外の7品目
古物台帳に書かなくてよい取引は、3つの場合に限られます。1万円未満の取引、自分が売った物を買い戻す取引、そして4区分以外の古物を引き渡した取引です。
書く側の手順は古物台帳の書き方で扱っています。この記事は、その手前にある「そもそも書くのかどうか」を決める部分です。
入口になるのは法16条のただし書ひとつだけですが、そこから2つの条文に枝分かれするため、読み解きにくくなっています。まず全体の形から見てください。

この記事の内容(17項目)
- 古物台帳の記載が不要になるのは3つの場合
- 確認が要らない取引は、記載も要らない
- 古物台帳の記載が必要な4区分|引き渡したとき
- 自動車を引き渡した相手方は書かなくてよい
- 古物の記載も確認も不要になるのは1万円未満のとき
- 対価の総額で見る
- 書かなくてよいだけで、書いてはいけないわけではない
- 古物の記載も確認も1万円未満で必要な7種類
- なぜこの7つなのか
- 7種類に当たると、判定はどう変わるか
- 古物を自分が売った相手から買い戻すときも記載は不要
- 古物の委託を受けるときは金額で判定できない
- 古物台帳そのものを書かなくてよい方法もある
- 取引伝票で代えるときは、とじ合わせる
- 電子で持つときは「直ちに書面に表示できる」が条件
- 古物台帳の記載が要るかを、取引の形ごとに見る
- 古物台帳は免除される取引を書いてもよい
- 古物台帳の記載を省略できる場合(相手方の情報)
- 古物台帳の判定を毎回迷わないようにする
- 古物台帳の免除と、他の帳簿の免除は別
- 古物台帳の判定を間違えたときの罰則
- 古物台帳の1万円未満の免除にかかわる最近の動き(2026年10月時点)
- 古物台帳の1万円未満の免除に出てくる用語
- 古物台帳の1万円未満の免除と一緒に押さえておきたいこと
- 1万円は消費税を除いた額で判定する
- 分けて持ち込まれたときは、申告の義務に注意する
- 室外機・電線・グレーチングは、範囲を決めて覚える
- 書籍はまとめて書いてよいが、CD・DVDは1品ごと
- よくある質問
古物台帳の記載が不要になるのは3つの場合
古物台帳の記載が不要になるのは、法16条ただし書に当たる3つの場合だけです。それ以外の取引は、受け取ったときも引き渡したときも、すべて記載の対象になります。
法16条の本文は「古物を受け取り、又は引き渡したときは、その都度、次に掲げる事項を…記載をし、又は電磁的方法により記録をしておかなければならない」と定めています。そのうしろに、こう続きます。
「ただし、前条第二項各号に掲げる場合及び当該記載又は記録の必要のないものとして国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した場合は、この限りでない」
この一文に、免除がすべて入っています。前半が法15条2項(2つの号)、後半が施行規則18条1項です。
| 根拠 | 免除される場合 | 効く場面 |
|---|---|---|
| 法15条2項1号 | 対価の総額が1万円未満の取引(規則16条2項の7種類を除く) | 受け取るとき |
| 法15条2項2号 | 自己が売却した物品を、その売却の相手方から買い受ける場合 | 受け取るとき |
| 規則18条1項 | 美術品類・時計宝飾品類・自動車・自動二輪車等以外を引き渡した場合 | 引き渡すとき |
確認が要らない取引は、記載も要らない
ここがいちばん取り違えやすいところです。法15条2項は本来、相手方の確認を免除するための条文です。法16条はそれを「掲げる場合」としてそのまま借りているので、確認しなくてよい取引は、台帳に書く必要もありません。
2つの義務が別々に動いているわけではなく、受入れについては確認の免除がそのまま記載の免除になるという関係です。
受け取るとき(買受け・交換・委託受け)
- 判定は金額で決まる
- 1万円未満なら確認も記載も不要
- 7種類の古物だけは金額に関係なく必要
引き渡すとき(売却・引渡し・返還)
- 判定は古物の区分で決まる
- 4区分だけ記載が必要
- 確認義務はそもそも無い(法15条1項の対象外)
古物台帳の記載が必要な4区分|引き渡したとき
古物を引き渡したときに記載が必要なのは、4つの区分だけです。根拠は施行規則18条1項で、条文はこれを二重否定の形で書いています。
「法第十六条ただし書の国家公安委員会規則で定める古物は、次の各号に該当する古物以外の古物とする」。つまり、次の4つ以外は書かなくてよい、という意味です。
| 号 | 古物の区分 | 備考 |
|---|---|---|
| 1号 | 美術品類 | 書画、彫刻、工芸品等 |
| 2号 | 時計・宝飾品類 | 時計、眼鏡、宝石類、装身具類、貴金属類等 |
| 3号 | 自動車 | その部分品を含む |
| 4号 | 自動二輪車及び原動機付自転車 | 部分品も含むが、対価の総額が1万円未満で取引されるものを除く |
4号のかっこ書きに注意してください。バイク本体は金額にかかわらず記載が必要ですが、部分品については1万円未満のものが除かれます。
逆にいえば、1号から3号には金額の線引きがありません。腕時計を8,000円で売ったときも、記載は必要です。引渡しの判定に金額を持ち込まないでください。

自動車を引き渡した相手方は書かなくてよい
規則18条2項に、もうひとつ別の免除があります。法16条4号(相手方の住所・氏名・職業・年齢)の「国家公安委員会規則で定める古物」は自動車である古物とされています。
つまり自動車を引き渡したときは、取引そのものは記載しますが、相手方の情報は書かなくてよいことになります。品目や特徴は必要です。取引ごと免除される3つとは別の、項目だけの免除です。
古物の記載も確認も不要になるのは1万円未満のとき
対価の総額が1万円未満の取引は、相手方の確認も、台帳への記載も不要です。根拠は法15条2項1号で、金額は施行規則16条1項が1万円と定めています。
「1万円未満だから確認はしなくていい。でも台帳には書かないといけない」と説明されることがありますが、条文はそう書いていません。法16条ただし書が法15条2項を丸ごと引いているので、両方とも外れます。
よくある誤解
- 1万円未満で外れるのは確認だけ
- 受入れは金額に関係なく全部書く
- 記載と確認は別々のルール
条文が書いていること
- 1万円未満は確認も記載も不要
- 受入れの判定は金額で決まる
- 法16条ただし書が法15条2項を引いている

対価の総額で見る
条文は「対価の総額」と書いています。1点あたりではありません。同じ相手から複数点をまとめて買い取るなら、合計で1万円以上になるかどうかで判定します。
8,000円の品物を2点まとめて買えば16,000円です。1点ずつで見て「どちらも1万円未満」と判断すると、確認も記載ももれます。実際に指摘されやすいのはここです。
書かなくてよいだけで、書いてはいけないわけではない
免除は「書く義務が無い」という意味です。書いても違反にはなりません。在庫管理の都合で全件を記録している事業者は多く、それ自体は問題ありません。詳しくは後述します。
古物の記載も確認も1万円未満で必要な7種類
次の7種類は、1万円未満でも確認と記載の両方が必要です。施行規則16条2項が、法15条2項1号のかっこ書き「特に措置をとる必要があるものとして国家公安委員会規則で定める古物」を定めています。
| 号 | 古物 | 想定される場面 |
|---|---|---|
| 1号 | 自動二輪車及び原動機付自転車(汎用の部分品を除く部分品を含む) | バイクパーツの買取 |
| 2号 | エアコンディショナーの室外ユニット及び電気温水機器のヒートポンプ | 金属目的の抜き取り |
| 3号 | 専ら家庭用コンピュータゲームに用いられるプログラムを記録した物 | ゲームソフトの買取 |
| 4号 | 光学的方法により音又は影像を記録した物 | CD・DVD・ブルーレイ |
| 5号 | 電線 | 銅線の抜き取り |
| 6号 | グレーチング(金属製のものに限る) | 側溝の蓋の盗難 |
| 7号 | 書籍 | 古本の買取 |
古本屋・ゲームショップ・リサイクルショップは、3号・4号・7号が日常業務に直撃します。1点300円の文庫本でも、確認をして台帳に書きます。
2号(エアコンの室外機・ヒートポンプ)、5号(電線)、6号(金属製のグレーチング)は、2025年10月1日の改正で加わりました(令和7年国家公安委員会規則第14号)。それまでは1号・3号・4号・7号にあたる4種類でした。古い資料の「4種類」のまま運用していると、金属製品の買取で確認と記載がもれます。

なぜこの7つなのか
並んでいるのは、単価が低いのに盗難が多いものです。電線やグレーチングは金属としての価値を目的に抜き取られ、CD・DVDやゲームソフトは万引きの転売先として使われます。
1万円の線引きだけだと、こうした品目がすべて免除の側に落ちてしまいます。それを塞ぐための例外です。単価ではなく、盗まれやすさで指定されていると考えると覚えやすくなります。
7種類に当たると、判定はどう変わるか
7種類に当たる古物は、法15条2項1号のかっこ書きで免除の対象から外れます。免除されないので、法16条ただし書も効きません。結果として、金額にかかわらず確認と記載の両方が残ります。
台帳の側では、この判定を代金だけで機械的に出すことができません。古物の区分か品名から、7種類に当たるかを別に見る必要があります。
古物を自分が売った相手から買い戻すときも記載は不要
自分が売った物品を、その売却の相手方から買い受けるときは、確認も記載も不要です。法15条2項2号にある、もうひとつの免除です。
あまり知られていませんが、条文は「自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受ける場合」とはっきり書いています。金額の線引きはありません。10万円の品物でも対象です。
2号に当たる
- 自店で売った品を、買った本人から買い戻す
- 返品・下取りとして戻ってくる場合
- 金額は問わない
2号に当たらない
- 自店で売った品を、別の人から買い取る
- 他店が売った品を買い取る
- 同じ型番というだけの品
相手が違えば適用されません。同じ品物でも、買った人ではない第三者から持ち込まれたら、通常の買取として扱います。
実務では、この免除に頼るより売却時の記録と結び付けて書いておくほうが安全です。自店が売った物だと示せるのは自分の記録だけなので、記録が無ければ免除の理由も説明できません。
古物の委託を受けるときは金額で判定できない
見落としやすいのが委託です。法15条1項は「古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとするとき」と書いています。
委託を受けるときも、確認と記載の対象です。買い取っていないので代金は発生しませんが、義務は同じようにかかります。
ここで問題になるのが1万円の判定です。免除の条件は「対価の総額が1万円未満である取引」ですが、委託を受ける時点では、まだ対価が決まっていません。総額が定まらない以上、1万円未満だと判定することもできません。
そのため、委託は免除を当てにせず記載するのが安全側の運用になります。台帳の代金欄は空のままで構いません。むしろ埋めてしまうと、あとで「いくらで買ったのか」と誤読されます。

古物台帳そのものを書かなくてよい方法もある
ここまでは「どの取引を書かなくてよいか」の話でした。もうひとつ、台帳という帳面そのものを持たなくてよい方法があります。
法16条は「帳簿若しくは国家公安委員会規則で定めるこれに準ずる書類(以下「帳簿等」という。)に記載をし、又は電磁的方法により記録をしておかなければならない」と書いています。認められているのは3通りです。
| 方法 | 根拠 | 条件 |
|---|---|---|
| 別記様式第15号の帳簿 | 規則17条1項 | 古物商の標準の様式 |
| 帳簿に準ずる書類 | 規則17条2項 | 取引の順に記載できる様式、または取引伝票等 |
| 電磁的方法による記録 | 法16条・法18条1項 | 記録の日から3年、直ちに書面に表示できる状態で保存 |
取引伝票で代えるときは、とじ合わせる
規則17条2項2号は「取引伝票その他これに類する書類であって、…記載すべき事項を取引ごとに記載することができる様式のもの」を帳簿に準ずる書類として認めています。
ただし条件があります。規則17条3項が、伝票方式で記載したときはその書類を取引の順にとじ合わせておかなければならないと定めています。伝票をばらのまま保管しているのは、この条件を満たしません。
電子で持つときは「直ちに書面に表示できる」が条件
電磁的方法で記録する場合、法18条1項は記録をした日から3年間、直ちに書面に表示することができるようにして保存することを求めています。
クラウドの管理画面に入っているだけでは足りません。求められたその場で印刷できる状態かどうかが条件です。表計算ファイルで持つ運用は、この点では素直な形になります。
古物台帳の記載が要るかを、取引の形ごとに見る
ここまでの条文を、実際の取引の形にあてはめます。同じ品物でも、受け取るときと引き渡すときで答えが変わります。
| 取引の形 | 記載 | 確認 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 衣類を8,000円で買い取る | 不要 | 不要 | 法15条2項1号(1万円未満) |
| 衣類を12,000円で買い取る | 必要 | 必要 | 1万円以上 |
| 同じ相手から8,000円の品を2点買う | 必要 | 必要 | 対価の総額16,000円 |
| 文庫本を300円で買い取る | 必要 | 必要 | 規則16条2項7号(書籍) |
| バイクの部品を6,000円で買い取る | 必要 | 必要 | 規則16条2項1号 |
| 自店で売った品を買った本人から買い戻す | 不要 | 不要 | 法15条2項2号 |
| 衣類を9,800円で売る | 不要 | 対象外 | 規則18条1項(4区分以外) |
| 腕時計を8,000円で売る | 必要 | 対象外 | 規則18条1項2号。金額の線引きは無い |
| 自動車を売る | 必要 | 対象外 | 規則18条1項3号。相手方は規則18条2項で不要 |
| 絵画の販売委託を受ける | 必要 | 必要 | 対価が未定で1万円未満と判定できない |
表を縦に見ると、受入れの行は金額と7種類だけで決まり、払出しの行は区分だけで決まっていることが分かります。この2本立てが条文の構造そのものです。

古物台帳は免除される取引を書いてもよい
記載が免除される取引を、あえて書いてはいけないという決まりはありません。書きすぎることは違反になりません。
在庫管理の都合で全件を記録している事業者は多く、それ自体は問題ありません。ただし免除だと分かる印を残しておくと、あとから見た人が「なぜこの行は相手方が空欄なのか」と迷わずに済みます。
残し方の例
- 備考に「法15条2項1号により免除」と書く
- 記載義務の判定を列にして自動で出す
- 免除の行だけ色を変える
避けたい状態
- 免除の行と必要な行が見分けられない
- 相手方が空欄の理由が分からない
- 立入りで1件ずつ説明する羽目になる
古物台帳の記載を省略できる場合(相手方の情報)
取引ごと免除される話とは別に、相手方の情報だけを省略できる取扱いがあります。
別記様式第15号の備考には、現に使用している帳簿に既に住所・氏名・職業・年齢が記載してある相手方については、氏名以外の事項で異動のないものの記載を省略できると書かれています。
省略できるもの
- 住所(変わっていない場合)
- 職業(変わっていない場合)
- 年齢(変わっていない場合)
省略できないもの
- 氏名(毎回書く)
- 取引の年月日
- 品目・数量・特徴
- 確認措置の区分
省略するときは、備考欄に「通番○と同一人」のように参照先を残してください。省略した理由が分からないと、記載もれと区別が付きません。
古物台帳の判定を毎回迷わないようにする
ここまでの判定は、条文を覚えていないと毎回調べ直すことになります。一般には、台帳の欄そのものに判定を持たせておくのが確実です。
必要なのは3つの列です。取引区分(受入れか払出しか)、古物の区分、代金。この3つがあれば、記載が要るかは機械的に決まります。
| 持たせる列 | 何のために | 無いとどうなるか |
|---|---|---|
| 取引区分 | 受入れ/払出しで判定の軸を切り替える | 金額で見るか区分で見るか決められない |
| 古物の区分 | 規則18条1項の4区分の判定 | 払出しの免除が判定できない |
| 代金(対価の総額) | 法15条2項1号の1万円の判定 | 受入れの免除が判定できない |
| 7類に当たるか | 規則16条2項の判定 | 書籍やCDの記載もれに気づけない |
ポイントはここです。代金は、法16条が挙げる5つの記載事項に入っていません。それでも入れておくのは、あとから「なぜこの取引を書かなかったのか」を示せるようにするためです。
免除に頼るほど、免除の根拠を残す必要が出てきます。書かない判断をした取引ほど、判定の材料が残っていないと説明できません。手で判定する運用でも回りますが、担当者が増えると判断がぶれます。
古物台帳の免除と、他の帳簿の免除は別
最後に混同しやすい点をひとつ。古物台帳の免除は、他の法律の帳簿には及びません。
買い取った品物を売るときに発行する領収書や、会計上の帳簿は、古物営業法とは別の法律で扱いが決まります。古物台帳で記載が免除される8,000円の買取でも、会計帳簿には仕入として残ります。
古物営業法の話
- 古物台帳への記載(法16条)
- 相手方の確認(法15条)
- 3年の備付け(法18条)
別の法律の話
- 帳簿書類の保存(法人税法・所得税法)
- 領収書・請求書の扱い
- 古物商許可そのものの更新・変更届
判断に迷ったときは、それぞれの法律で別々に考えると整理しやすくなります。古物営業法の免除はあくまで古物台帳の話です。
古物台帳の判定を間違えたときの罰則
記載義務の判定を誤ると、法33条2号にあたる可能性があります。同号は法16条・17条に違反して必要な記載をせず、または虚偽の記載をした者を、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金と定めています。
罰則がかかるのは「書かなければならない取引を書かなかった」ときだけです。免除される取引を書いても、違反にはなりません。
必要な取引を書かなかった
- 法16条違反
- 法33条2号:6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
免除の取引まで書いた
- 違反にはならない
- 備考に免除の根拠を残すと説明しやすい
実務では、いきなり罰則が適用されるより先に指導が入ります。それでも、迷ったときは書く、が安全側です。

古物台帳の1万円未満の免除にかかわる最近の動き(2026年10月時点)
古物台帳の1万円未満の免除は、2025年から2026年にかけて、金属盗の対策で例外が広がりました。記載が要るかどうかの判定に関係する動きを、日付順に並べます。
| 時期 | 動き | 古物台帳への関係 |
|---|---|---|
| 2025年6月1日 | 刑法等の改正にあわせ、古物営業法の罰則の「懲役」が「拘禁刑」に変わった | 記載をしなかったときの罰則(法33条2号)は、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
| 2025年6月 | 「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律」(金属盗対策法、令和7年法律第75号)が公布された | 本来の使い方ができない金属くずの買受けを、古物営業法とは別に規制する法律ができた |
| 2025年8月20日公布・10月1日施行 | 古物営業法施行規則の改正(令和7年国家公安委員会規則第14号)。エアコンの室外機・電気温水機器のヒートポンプ、電線、金属製のグレーチングを1万円未満の免除から外した | 規則16条2項が4種類から7種類になった。これらは金額にかかわらず確認と記載が要る |
| 2026年5月14日 | 警察庁が「古物営業法等の解釈運用基準」を改めて通達した(丙生企発第51号) | 対価の総額の数え方や、室外機・電線・グレーチングの範囲が示された |
| 2026年6月1日 | 金属盗対策法のうち、特定金属くず買受業の措置が施行された | 古物にあたらない金属くずの買受けには、金属盗対策法の本人確認と取引記録の義務がかかる |
出典:古物営業法施行規則(e-Gov法令検索)、古物営業法(e-Gov法令検索)、「古物営業法施行規則の一部を改正する規則案」に対する意見の募集について(警察庁)、古物営業法等の解釈運用基準について(警察庁)、金属盗対策法(警察庁)。確認日は2026年10月3日です。個別の取引の扱いは、営業所のある地域を管轄する警察署の古物担当の窓口で確認してください。
古物台帳の1万円未満の免除に出てくる用語
古物台帳の1万円未満の免除は、条文の言葉の意味を取り違えると判定を誤ります。この記事で使った言葉を、根拠と一緒に整理します。
| 用語 | 意味 | 出典 |
|---|---|---|
| 対価の総額 | 一度に持ち込まれた物品の対価をすべて足した額。1点ごとの単価ではない。消費税は含まない | 法15条2項1号、規則16条1項、解釈運用基準 |
| 帳簿等 | 帳簿(別記様式第15号)と、これに準ずる書類(取引の順に記載できる書類、取引伝票など) | 法16条、規則17条 |
| 電磁的方法による記録 | パソコンや記録媒体への入力による記録。法16条の5項目を満たせばPOSの記録も当たる | 法16条、解釈運用基準 |
| 相手方の確認 | 買い受けるときなどに、相手の住所・氏名・職業・年齢を確かめる措置 | 法15条1項 |
| 不正品 | 犯罪にあたる行為で手に入れられた物。盗品より広い | 法15条3項、解釈運用基準 |
| 特定金属くず | 主に特定の金属でできた物のうち、本来の使い方ができないくず | 金属盗対策法2条3号 |
| 記載不要 | 条文の言葉ではない。法16条ただし書で「この限りでない」とされる場合を指す | 法令上の定義はない |
対価の総額と不正品は、次の節の判定に直接かかわります。
古物台帳の1万円未満の免除と一緒に押さえておきたいこと
古物台帳の1万円未満の免除は、金額だけを見ていると落とし穴があります。警察庁の解釈運用基準が示している点のうち、上位の記事であまり触れられていないものを4つ挙げます。
1万円は消費税を除いた額で判定する
解釈運用基準は、対価の総額の1万円に消費税を含まないとしています。消費税を除いた額が1万円以上なら、確認と記載が要ります。税込の金額で1万円をわずかに超える取引は、税抜にすると1万円未満になることがあるので、税抜の額で判定します。
分けて持ち込まれたときは、申告の義務に注意する
相手が数回に分けて持ち込み、各回の対価の総額が1万円に満たない場合は、確認と記載は免除されるとされています。ただし、正当な理由なく分けて売ろうとする相手については、不正品の疑いとして警察官への申告義務(法15条3項)が生じる場合があるとされています。台帳に書かなくてよい取引でも、気になった点はメモに残しておくと説明しやすくなります。
室外機・電線・グレーチングは、範囲を決めて覚える
解釈運用基準では、電線は銅線・アルミ線など素材を問わない一方、LANケーブルや家庭用の延長コード、充電ケーブルは含まないとされています。グレーチングは金属製に限り、コンクリート製やFRP製は含みません。室外機は、室内機とセットかどうかに関係なく対象です。品名で迷いやすいものは、台帳の「7種類に当たるか」の欄で判定を残します。
書籍はまとめて書いてよいが、CD・DVDは1品ごと
帳簿の品目は1品ごとに書くのが原則ですが、書籍は同じ人から同時に受け取ったものを「『書名』外○冊」「コミック○冊、文庫○冊」のようにまとめて書くことが認められています。CD・DVDは1品ごとに書きます。衣類を重さで買い取る場合も、まとめて書くことが認められています。
よくある質問
- Q. 1万円未満の買取は台帳に書かなくていいのですか。
- はい。法16条ただし書が法15条2項各号を記載義務の対象から外しているため、対価の総額が1万円未満の取引は確認も記載も不要です。ただし施行規則16条2項の7種類(バイクとその部分品、エアコン室外機・ヒートポンプ、家庭用ゲームソフト、CD・DVD等、電線、金属製グレーチング、書籍)は対象から外れず、金額にかかわらず必要です。
- Q. 「対価の総額」は1点ずつで見ますか。
- 取引の総額で見ます。同じ相手から8,000円の品を2点まとめて買い取れば16,000円なので、確認と記載が必要になります。1点ずつで見ると判定を誤ります。
- Q. 古本を1冊300円で買い取りました。書かなくていいですか。
- 必要です。書籍は施行規則16条2項7号に挙げられていて、1万円未満の免除から外れます。確認をして台帳にも記載します。
- Q. 衣類を売ったときは、本当に台帳に書かなくていいのですか。
- 施行規則18条1項により、引き渡したときに記載義務があるのは美術品類・時計宝飾品類・自動車・自動二輪車等の4区分だけです。衣類の引渡しは免除されます。
- Q. 腕時計を8,000円で売ったときはどうなりますか。
- 記載が必要です。引渡しの判定は施行規則18条1項の区分だけで決まり、1号から3号には金額の線引きがありません。金額で外れるのは4号(自動二輪車等)の部分品だけです。
- Q. 自分の店で売った品を買い戻すときも書きますか。
- 法15条2項2号により、自己が売却した物品をその売却の相手方から買い受ける場合は、確認も記載も不要です。金額は問いません。ただし相手が違えば適用されないので、自店の売却記録と結び付けておく必要があります。
- Q. 委託販売を引き受けたときはどう判定しますか。
- 法15条1項が「売却若しくは交換の委託を受けようとするとき」も対象にしているため、確認と記載の対象です。委託を受ける時点では対価の総額が決まっていないので1万円未満とは判定できず、免除を当てにしない運用が安全です。
- Q. エアコンの室外機を5,000円で買い取るときも台帳に書きますか。
- 書きます。2025年10月1日から、エアコンの室外機と電気温水機器のヒートポンプは施行規則16条2項2号に加わり、1万円未満でも確認と記載が必要です。電線(5号)と金属製のグレーチング(6号)も同じです。
- Q. 1万円は税込で判定しますか。
- 警察庁の解釈運用基準は、対価の総額の1万円に消費税を含まないとしています。消費税を除いた額が1万円以上なら、確認と記載が必要です。
- Q. 免除される取引を台帳に書いてしまっても問題ありませんか。
- 問題ありません。書きすぎることは違反になりません。ただし、免除であることが分かる印を備考に残しておくと、相手方が空欄の理由をあとから説明できます。
この記事で使うテンプレート
本記事は法令および官公庁の公表資料をもとに整理した参考情報です。法令への適合を保証するものではありません。実際の義務内容は e-Gov法令検索および所管官庁にご確認ください。内容は2026-10-03時点のものです。