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古物台帳に書かなくていい取引|1万円未満の免除と、例外の7品目

公開 2026-08-22更新 2026-10-03 執筆 記録板 編集部
記録板 編集部法令の原文と省庁の資料で確認:2026年10月3日

古物台帳に書かなくてよい取引は、3つの場合に限られます。1万円未満の取引、自分が売った物を買い戻す取引、そして4区分以外の古物を引き渡した取引です。

書く側の手順は古物台帳の書き方で扱っています。この記事は、その手前にある「そもそも書くのかどうか」を決める部分です。

入口になるのは法16条のただし書ひとつだけですが、そこから2つの条文に枝分かれするため、読み解きにくくなっています。まず全体の形から見てください。

古物台帳の記載義務が外れる道すじ
法16条 本文記載しなければならない
›
法16条 ただし書2つの入口
›
法15条2項1万円未満/買戻し
›
規則18条1項4区分以外の引渡し
免除の根拠は3つあります。どれか1つに当たれば、その取引は書かなくて構いません。
骨董市に並ぶ中古品
同じ品物でも、受け取るときと引き渡すときで答えが変わります。KKPCW / CC BY-SA 4.0/Wikimedia Commons
古物台帳(Excel・無料)古物営業法16条の記載事項5つを、別記様式第15号の「受入れ/払出し」構成で持たせた台帳。取引区分と古物の区分を選ぶと、規則18条の記載義務と規則16条の確認義務を自動で判定する。保存の起算日は最終記載日。
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この記事の内容(17項目)
  1. 古物台帳の記載が不要になるのは3つの場合
  2. 確認が要らない取引は、記載も要らない
  3. 古物台帳の記載が必要な4区分|引き渡したとき
  4. 自動車を引き渡した相手方は書かなくてよい
  5. 古物の記載も確認も不要になるのは1万円未満のとき
  6. 対価の総額で見る
  7. 書かなくてよいだけで、書いてはいけないわけではない
  8. 古物の記載も確認も1万円未満で必要な7種類
  9. なぜこの7つなのか
  10. 7種類に当たると、判定はどう変わるか
  11. 古物を自分が売った相手から買い戻すときも記載は不要
  12. 古物の委託を受けるときは金額で判定できない
  13. 古物台帳そのものを書かなくてよい方法もある
  14. 取引伝票で代えるときは、とじ合わせる
  15. 電子で持つときは「直ちに書面に表示できる」が条件
  16. 古物台帳の記載が要るかを、取引の形ごとに見る
  17. 古物台帳は免除される取引を書いてもよい
  18. 古物台帳の記載を省略できる場合(相手方の情報)
  19. 古物台帳の判定を毎回迷わないようにする
  20. 古物台帳の免除と、他の帳簿の免除は別
  21. 古物台帳の判定を間違えたときの罰則
  22. 古物台帳の1万円未満の免除にかかわる最近の動き(2026年10月時点)
  23. 古物台帳の1万円未満の免除に出てくる用語
  24. 古物台帳の1万円未満の免除と一緒に押さえておきたいこと
  25. 1万円は消費税を除いた額で判定する
  26. 分けて持ち込まれたときは、申告の義務に注意する
  27. 室外機・電線・グレーチングは、範囲を決めて覚える
  28. 書籍はまとめて書いてよいが、CD・DVDは1品ごと
  29. よくある質問

古物台帳の記載が不要になるのは3つの場合

古物台帳の記載が不要になるのは、法16条ただし書に当たる3つの場合だけです。それ以外の取引は、受け取ったときも引き渡したときも、すべて記載の対象になります。

法16条の本文は「古物を受け取り、又は引き渡したときは、その都度、次に掲げる事項を…記載をし、又は電磁的方法により記録をしておかなければならない」と定めています。そのうしろに、こう続きます。

「ただし、前条第二項各号に掲げる場合及び当該記載又は記録の必要のないものとして国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した場合は、この限りでない」

この一文に、免除がすべて入っています。前半が法15条2項(2つの号)、後半が施行規則18条1項です。

記載が免除される3つの場合
根拠免除される場合効く場面
法15条2項1号対価の総額が1万円未満の取引(規則16条2項の7種類を除く)受け取るとき
法15条2項2号自己が売却した物品を、その売却の相手方から買い受ける場合受け取るとき
規則18条1項美術品類・時計宝飾品類・自動車・自動二輪車等以外を引き渡した場合引き渡すとき
前の2つは確認義務(法15条1項)の免除でもあります。3つ目は記載だけの話です。

確認が要らない取引は、記載も要らない

ここがいちばん取り違えやすいところです。法15条2項は本来、相手方の確認を免除するための条文です。法16条はそれを「掲げる場合」としてそのまま借りているので、確認しなくてよい取引は、台帳に書く必要もありません。

2つの義務が別々に動いているわけではなく、受入れについては確認の免除がそのまま記載の免除になるという関係です。

受入れと払出しでは判定の軸が違う

受け取るとき(買受け・交換・委託受け)

  • 判定は金額で決まる
  • 1万円未満なら確認も記載も不要
  • 7種類の古物だけは金額に関係なく必要

引き渡すとき(売却・引渡し・返還)

  • 判定は古物の区分で決まる
  • 4区分だけ記載が必要
  • 確認義務はそもそも無い(法15条1項の対象外)
同じ「免除」でも、見るものが金額か区分かで変わります。

古物台帳の記載が必要な4区分|引き渡したとき

古物を引き渡したときに記載が必要なのは、4つの区分だけです。根拠は施行規則18条1項で、条文はこれを二重否定の形で書いています。

「法第十六条ただし書の国家公安委員会規則で定める古物は、次の各号に該当する古物以外の古物とする」。つまり、次の4つ以外は書かなくてよい、という意味です。

引渡しでも記載が必要な古物(規則18条1項)
号古物の区分備考
1号美術品類書画、彫刻、工芸品等
2号時計・宝飾品類時計、眼鏡、宝石類、装身具類、貴金属類等
3号自動車その部分品を含む
4号自動二輪車及び原動機付自転車部分品も含むが、対価の総額が1万円未満で取引されるものを除く
4号だけ、部分品について金額の線引きがあります。

4号のかっこ書きに注意してください。バイク本体は金額にかかわらず記載が必要ですが、部分品については1万円未満のものが除かれます。

逆にいえば、1号から3号には金額の線引きがありません。腕時計を8,000円で売ったときも、記載は必要です。引渡しの判定に金額を持ち込まないでください。

並べられた腕時計
時計・宝飾品類は規則18条1項2号。売ったときも記載が必要です。Petar Milošević / CC BY-SA 4.0/Wikimedia Commons
記載の対象になる古物の区分の数
受入れ(買受け・委託)
13区分
払出し(売却・返還)
4区分
受入れは13区分すべてが対象です。ただし1万円未満なら金額で外れます。

自動車を引き渡した相手方は書かなくてよい

規則18条2項に、もうひとつ別の免除があります。法16条4号(相手方の住所・氏名・職業・年齢)の「国家公安委員会規則で定める古物」は自動車である古物とされています。

つまり自動車を引き渡したときは、取引そのものは記載しますが、相手方の情報は書かなくてよいことになります。品目や特徴は必要です。取引ごと免除される3つとは別の、項目だけの免除です。

古物の記載も確認も不要になるのは1万円未満のとき

対価の総額が1万円未満の取引は、相手方の確認も、台帳への記載も不要です。根拠は法15条2項1号で、金額は施行規則16条1項が1万円と定めています。

「1万円未満だから確認はしなくていい。でも台帳には書かないといけない」と説明されることがありますが、条文はそう書いていません。法16条ただし書が法15条2項を丸ごと引いているので、両方とも外れます。

受け取るときの判定

よくある誤解

  • 1万円未満で外れるのは確認だけ
  • 受入れは金額に関係なく全部書く
  • 記載と確認は別々のルール

条文が書いていること

  • 1万円未満は確認も記載も不要
  • 受入れの判定は金額で決まる
  • 法16条ただし書が法15条2項を引いている
免除されるのは「取引をする場合」なので、その取引の記載義務そのものが無くなります。
フリーマーケットに並ぶ中古品
1万円未満の買取は、台帳の行そのものが不要になります。ただし7種類は別です。Jordi Sanchez Teruel / CC BY-SA 2.0/Wikimedia Commons

対価の総額で見る

条文は「対価の総額」と書いています。1点あたりではありません。同じ相手から複数点をまとめて買い取るなら、合計で1万円以上になるかどうかで判定します。

8,000円の品物を2点まとめて買えば16,000円です。1点ずつで見て「どちらも1万円未満」と判断すると、確認も記載ももれます。実際に指摘されやすいのはここです。

書かなくてよいだけで、書いてはいけないわけではない

免除は「書く義務が無い」という意味です。書いても違反にはなりません。在庫管理の都合で全件を記録している事業者は多く、それ自体は問題ありません。詳しくは後述します。

古物の記載も確認も1万円未満で必要な7種類

次の7種類は、1万円未満でも確認と記載の両方が必要です。施行規則16条2項が、法15条2項1号のかっこ書き「特に措置をとる必要があるものとして国家公安委員会規則で定める古物」を定めています。

規則16条2項の7類
号古物想定される場面
1号自動二輪車及び原動機付自転車(汎用の部分品を除く部分品を含む)バイクパーツの買取
2号エアコンディショナーの室外ユニット及び電気温水機器のヒートポンプ金属目的の抜き取り
3号専ら家庭用コンピュータゲームに用いられるプログラムを記録した物ゲームソフトの買取
4号光学的方法により音又は影像を記録した物CD・DVD・ブルーレイ
5号電線銅線の抜き取り
6号グレーチング(金属製のものに限る)側溝の蓋の盗難
7号書籍古本の買取
盗難が多い品目が指定されています。単価が小さくても狙われるものが並びます。

古本屋・ゲームショップ・リサイクルショップは、3号・4号・7号が日常業務に直撃します。1点300円の文庫本でも、確認をして台帳に書きます。

2号(エアコンの室外機・ヒートポンプ)、5号(電線)、6号(金属製のグレーチング)は、2025年10月1日の改正で加わりました(令和7年国家公安委員会規則第14号)。それまでは1号・3号・4号・7号にあたる4種類でした。古い資料の「4種類」のまま運用していると、金属製品の買取で確認と記載がもれます。

棚に並んだCD
4号の「光学的方法により音又は影像を記録した物」。CD・DVD・ブルーレイが入ります。Hans Dinkelberg / CC BY 2.0/Wikimedia Commons

なぜこの7つなのか

並んでいるのは、単価が低いのに盗難が多いものです。電線やグレーチングは金属としての価値を目的に抜き取られ、CD・DVDやゲームソフトは万引きの転売先として使われます。

1万円の線引きだけだと、こうした品目がすべて免除の側に落ちてしまいます。それを塞ぐための例外です。単価ではなく、盗まれやすさで指定されていると考えると覚えやすくなります。

7種類に当たると、判定はどう変わるか

7種類に当たる古物は、法15条2項1号のかっこ書きで免除の対象から外れます。免除されないので、法16条ただし書も効きません。結果として、金額にかかわらず確認と記載の両方が残ります。

台帳の側では、この判定を代金だけで機械的に出すことができません。古物の区分か品名から、7種類に当たるかを別に見る必要があります。

古物を自分が売った相手から買い戻すときも記載は不要

自分が売った物品を、その売却の相手方から買い受けるときは、確認も記載も不要です。法15条2項2号にある、もうひとつの免除です。

あまり知られていませんが、条文は「自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受ける場合」とはっきり書いています。金額の線引きはありません。10万円の品物でも対象です。

買戻しの免除が効く範囲

2号に当たる

  • 自店で売った品を、買った本人から買い戻す
  • 返品・下取りとして戻ってくる場合
  • 金額は問わない

2号に当たらない

  • 自店で売った品を、別の人から買い取る
  • 他店が売った品を買い取る
  • 同じ型番というだけの品
「自己が売却した物品」かつ「その売却の相手方」の両方がそろったときだけです。

相手が違えば適用されません。同じ品物でも、買った人ではない第三者から持ち込まれたら、通常の買取として扱います。

実務では、この免除に頼るより売却時の記録と結び付けて書いておくほうが安全です。自店が売った物だと示せるのは自分の記録だけなので、記録が無ければ免除の理由も説明できません。

古物の委託を受けるときは金額で判定できない

見落としやすいのが委託です。法15条1項は「古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとするとき」と書いています。

委託を受けるときも、確認と記載の対象です。買い取っていないので代金は発生しませんが、義務は同じようにかかります。

ここで問題になるのが1万円の判定です。免除の条件は「対価の総額が1万円未満である取引」ですが、委託を受ける時点では、まだ対価が決まっていません。総額が定まらない以上、1万円未満だと判定することもできません。

そのため、委託は免除を当てにせず記載するのが安全側の運用になります。台帳の代金欄は空のままで構いません。むしろ埋めてしまうと、あとで「いくらで買ったのか」と誤読されます。

古書店の店頭に並ぶ古本
古書店は7号(書籍)が日常業務に直撃します。文庫本1冊でも確認が要ります。Olaf2 / CC BY-SA 4.0/Wikimedia Commons

古物台帳そのものを書かなくてよい方法もある

ここまでは「どの取引を書かなくてよいか」の話でした。もうひとつ、台帳という帳面そのものを持たなくてよい方法があります。

法16条は「帳簿若しくは国家公安委員会規則で定めるこれに準ずる書類(以下「帳簿等」という。)に記載をし、又は電磁的方法により記録をしておかなければならない」と書いています。認められているのは3通りです。

古物台帳の3つの持ち方
方法根拠条件
別記様式第15号の帳簿規則17条1項古物商の標準の様式
帳簿に準ずる書類規則17条2項取引の順に記載できる様式、または取引伝票等
電磁的方法による記録法16条・法18条1項記録の日から3年、直ちに書面に表示できる状態で保存
どれを選んでも、記載すべき事項(法16条の5項目)は変わりません。

取引伝票で代えるときは、とじ合わせる

規則17条2項2号は「取引伝票その他これに類する書類であって、…記載すべき事項を取引ごとに記載することができる様式のもの」を帳簿に準ずる書類として認めています。

ただし条件があります。規則17条3項が、伝票方式で記載したときはその書類を取引の順にとじ合わせておかなければならないと定めています。伝票をばらのまま保管しているのは、この条件を満たしません。

伝票方式で持つときの流れ
伝票に書く取引ごと
›
取引の順に並べる規則17条3項
›
とじ合わせるばらのままにしない
›
3年備え付ける法18条1項
とじ合わせて初めて「帳簿に準ずる書類」になります。

電子で持つときは「直ちに書面に表示できる」が条件

電磁的方法で記録する場合、法18条1項は記録をした日から3年間、直ちに書面に表示することができるようにして保存することを求めています。

クラウドの管理画面に入っているだけでは足りません。求められたその場で印刷できる状態かどうかが条件です。表計算ファイルで持つ運用は、この点では素直な形になります。

古物台帳の記載が要るかを、取引の形ごとに見る

ここまでの条文を、実際の取引の形にあてはめます。同じ品物でも、受け取るときと引き渡すときで答えが変わります。

10の場面での判定
取引の形記載確認根拠
衣類を8,000円で買い取る不要不要法15条2項1号(1万円未満)
衣類を12,000円で買い取る必要必要1万円以上
同じ相手から8,000円の品を2点買う必要必要対価の総額16,000円
文庫本を300円で買い取る必要必要規則16条2項7号(書籍)
バイクの部品を6,000円で買い取る必要必要規則16条2項1号
自店で売った品を買った本人から買い戻す不要不要法15条2項2号
衣類を9,800円で売る不要対象外規則18条1項(4区分以外)
腕時計を8,000円で売る必要対象外規則18条1項2号。金額の線引きは無い
自動車を売る必要対象外規則18条1項3号。相手方は規則18条2項で不要
絵画の販売委託を受ける必要必要対価が未定で1万円未満と判定できない
「確認」の欄が「対象外」なのは払出しだからです。法15条1項は受け取る側の規定です。

表を縦に見ると、受入れの行は金額と7種類だけで決まり、払出しの行は区分だけで決まっていることが分かります。この2本立てが条文の構造そのものです。

中古のバイク部品
バイクの部品は規則16条2項1号。汎用の部分品を除き、金額にかかわらず必要です。Dimitri / CC BY 2.0/Wikimedia Commons
古物台帳(Excel・無料)古物営業法16条の記載事項5つを、別記様式第15号の「受入れ/払出し」構成で持たせた台帳。取引区分と古物の区分を選ぶと、規則18条の記載義務と規則16条の確認義務を自動で判定する。保存の起算日は最終記載日。
テンプレートを見る

古物台帳は免除される取引を書いてもよい

記載が免除される取引を、あえて書いてはいけないという決まりはありません。書きすぎることは違反になりません。

在庫管理の都合で全件を記録している事業者は多く、それ自体は問題ありません。ただし免除だと分かる印を残しておくと、あとから見た人が「なぜこの行は相手方が空欄なのか」と迷わずに済みます。

免除の行をどう残すか

残し方の例

  • 備考に「法15条2項1号により免除」と書く
  • 記載義務の判定を列にして自動で出す
  • 免除の行だけ色を変える

避けたい状態

  • 免除の行と必要な行が見分けられない
  • 相手方が空欄の理由が分からない
  • 立入りで1件ずつ説明する羽目になる
記録板の古物台帳は、取引区分・古物の区分・代金と、7種類に当たるかの欄から判定を出します。

古物台帳の記載を省略できる場合(相手方の情報)

取引ごと免除される話とは別に、相手方の情報だけを省略できる取扱いがあります。

別記様式第15号の備考には、現に使用している帳簿に既に住所・氏名・職業・年齢が記載してある相手方については、氏名以外の事項で異動のないものの記載を省略できると書かれています。

常連の相手方で省略できる範囲

省略できるもの

  • 住所(変わっていない場合)
  • 職業(変わっていない場合)
  • 年齢(変わっていない場合)

省略できないもの

  • 氏名(毎回書く)
  • 取引の年月日
  • 品目・数量・特徴
  • 確認措置の区分
「異動のないもの」が条件です。引っ越していれば住所は書き直します。

省略するときは、備考欄に「通番○と同一人」のように参照先を残してください。省略した理由が分からないと、記載もれと区別が付きません。

古物台帳の判定を毎回迷わないようにする

ここまでの判定は、条文を覚えていないと毎回調べ直すことになります。一般には、台帳の欄そのものに判定を持たせておくのが確実です。

必要なのは3つの列です。取引区分(受入れか払出しか)、古物の区分、代金。この3つがあれば、記載が要るかは機械的に決まります。

判定に必要な4つの列
持たせる列何のために無いとどうなるか
取引区分受入れ/払出しで判定の軸を切り替える金額で見るか区分で見るか決められない
古物の区分規則18条1項の4区分の判定払出しの免除が判定できない
代金(対価の総額)法15条2項1号の1万円の判定受入れの免除が判定できない
7類に当たるか規則16条2項の判定書籍やCDの記載もれに気づけない
このうち代金と区分は法定の記載事項ではありません。判定を残すための実務欄です。

ポイントはここです。代金は、法16条が挙げる5つの記載事項に入っていません。それでも入れておくのは、あとから「なぜこの取引を書かなかったのか」を示せるようにするためです。

免除に頼るほど、免除の根拠を残す必要が出てきます。書かない判断をした取引ほど、判定の材料が残っていないと説明できません。手で判定する運用でも回りますが、担当者が増えると判断がぶれます。

古物台帳の免除と、他の帳簿の免除は別

最後に混同しやすい点をひとつ。古物台帳の免除は、他の法律の帳簿には及びません。

買い取った品物を売るときに発行する領収書や、会計上の帳簿は、古物営業法とは別の法律で扱いが決まります。古物台帳で記載が免除される8,000円の買取でも、会計帳簿には仕入として残ります。

混ぜないほうがよい2つ

古物営業法の話

  • 古物台帳への記載(法16条)
  • 相手方の確認(法15条)
  • 3年の備付け(法18条)

別の法律の話

  • 帳簿書類の保存(法人税法・所得税法)
  • 領収書・請求書の扱い
  • 古物商許可そのものの更新・変更届
古物台帳の免除だけを見て、他の書類まで不要と判断しないでください。

判断に迷ったときは、それぞれの法律で別々に考えると整理しやすくなります。古物営業法の免除はあくまで古物台帳の話です。

古物台帳の判定を間違えたときの罰則

記載義務の判定を誤ると、法33条2号にあたる可能性があります。同号は法16条・17条に違反して必要な記載をせず、または虚偽の記載をした者を、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金と定めています。

罰則がかかるのは「書かなければならない取引を書かなかった」ときだけです。免除される取引を書いても、違反にはなりません。

どちらが問題になるか

必要な取引を書かなかった

  • 法16条違反
  • 法33条2号:6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金

免除の取引まで書いた

  • 違反にはならない
  • 備考に免除の根拠を残すと説明しやすい
書きすぎは違反になりません。判定に迷ったら書いてください。

実務では、いきなり罰則が適用されるより先に指導が入ります。それでも、迷ったときは書く、が安全側です。

毎回の流れ
取引が起きる受入れ/払出し
›
軸を選ぶ金額か区分か
›
判定が出る記載・確認
›
要るものだけ書く迷ったら書く
判定を頭で覚えるのではなく、台帳の欄に持たせておくと、担当者が変わっても結果が揃います。
街なかの交番
立入りで指摘されるのは、書き方より「書いていない取引」です。Shinmaebashi / CC BY-SA 4.0/Wikimedia Commons

古物台帳の1万円未満の免除にかかわる最近の動き(2026年10月時点)

古物台帳の1万円未満の免除は、2025年から2026年にかけて、金属盗の対策で例外が広がりました。記載が要るかどうかの判定に関係する動きを、日付順に並べます。

時期動き古物台帳への関係
2025年6月1日刑法等の改正にあわせ、古物営業法の罰則の「懲役」が「拘禁刑」に変わった記載をしなかったときの罰則(法33条2号)は、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
2025年6月「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律」(金属盗対策法、令和7年法律第75号)が公布された本来の使い方ができない金属くずの買受けを、古物営業法とは別に規制する法律ができた
2025年8月20日公布・10月1日施行古物営業法施行規則の改正(令和7年国家公安委員会規則第14号)。エアコンの室外機・電気温水機器のヒートポンプ、電線、金属製のグレーチングを1万円未満の免除から外した規則16条2項が4種類から7種類になった。これらは金額にかかわらず確認と記載が要る
2026年5月14日警察庁が「古物営業法等の解釈運用基準」を改めて通達した(丙生企発第51号)対価の総額の数え方や、室外機・電線・グレーチングの範囲が示された
2026年6月1日金属盗対策法のうち、特定金属くず買受業の措置が施行された古物にあたらない金属くずの買受けには、金属盗対策法の本人確認と取引記録の義務がかかる

出典:古物営業法施行規則(e-Gov法令検索)、古物営業法(e-Gov法令検索)、「古物営業法施行規則の一部を改正する規則案」に対する意見の募集について(警察庁)、古物営業法等の解釈運用基準について(警察庁)、金属盗対策法(警察庁)。確認日は2026年10月3日です。個別の取引の扱いは、営業所のある地域を管轄する警察署の古物担当の窓口で確認してください。

古物台帳の1万円未満の免除に出てくる用語

古物台帳の1万円未満の免除は、条文の言葉の意味を取り違えると判定を誤ります。この記事で使った言葉を、根拠と一緒に整理します。

用語意味出典
対価の総額一度に持ち込まれた物品の対価をすべて足した額。1点ごとの単価ではない。消費税は含まない法15条2項1号、規則16条1項、解釈運用基準
帳簿等帳簿(別記様式第15号)と、これに準ずる書類(取引の順に記載できる書類、取引伝票など)法16条、規則17条
電磁的方法による記録パソコンや記録媒体への入力による記録。法16条の5項目を満たせばPOSの記録も当たる法16条、解釈運用基準
相手方の確認買い受けるときなどに、相手の住所・氏名・職業・年齢を確かめる措置法15条1項
不正品犯罪にあたる行為で手に入れられた物。盗品より広い法15条3項、解釈運用基準
特定金属くず主に特定の金属でできた物のうち、本来の使い方ができないくず金属盗対策法2条3号
記載不要条文の言葉ではない。法16条ただし書で「この限りでない」とされる場合を指す法令上の定義はない

対価の総額と不正品は、次の節の判定に直接かかわります。

古物台帳の1万円未満の免除と一緒に押さえておきたいこと

古物台帳の1万円未満の免除は、金額だけを見ていると落とし穴があります。警察庁の解釈運用基準が示している点のうち、上位の記事であまり触れられていないものを4つ挙げます。

1万円は消費税を除いた額で判定する

解釈運用基準は、対価の総額の1万円に消費税を含まないとしています。消費税を除いた額が1万円以上なら、確認と記載が要ります。税込の金額で1万円をわずかに超える取引は、税抜にすると1万円未満になることがあるので、税抜の額で判定します。

分けて持ち込まれたときは、申告の義務に注意する

相手が数回に分けて持ち込み、各回の対価の総額が1万円に満たない場合は、確認と記載は免除されるとされています。ただし、正当な理由なく分けて売ろうとする相手については、不正品の疑いとして警察官への申告義務(法15条3項)が生じる場合があるとされています。台帳に書かなくてよい取引でも、気になった点はメモに残しておくと説明しやすくなります。

室外機・電線・グレーチングは、範囲を決めて覚える

解釈運用基準では、電線は銅線・アルミ線など素材を問わない一方、LANケーブルや家庭用の延長コード、充電ケーブルは含まないとされています。グレーチングは金属製に限り、コンクリート製やFRP製は含みません。室外機は、室内機とセットかどうかに関係なく対象です。品名で迷いやすいものは、台帳の「7種類に当たるか」の欄で判定を残します。

書籍はまとめて書いてよいが、CD・DVDは1品ごと

帳簿の品目は1品ごとに書くのが原則ですが、書籍は同じ人から同時に受け取ったものを「『書名』外○冊」「コミック○冊、文庫○冊」のようにまとめて書くことが認められています。CD・DVDは1品ごとに書きます。衣類を重さで買い取る場合も、まとめて書くことが認められています。

記録板 編集部がまとめました様式を無料で配り、使い方と法令の決まりを記事にまとめています。法令の数字は e-Gov の原文で確かめてから載せています。

よくある質問

Q. 1万円未満の買取は台帳に書かなくていいのですか。
はい。法16条ただし書が法15条2項各号を記載義務の対象から外しているため、対価の総額が1万円未満の取引は確認も記載も不要です。ただし施行規則16条2項の7種類(バイクとその部分品、エアコン室外機・ヒートポンプ、家庭用ゲームソフト、CD・DVD等、電線、金属製グレーチング、書籍)は対象から外れず、金額にかかわらず必要です。
Q. 「対価の総額」は1点ずつで見ますか。
取引の総額で見ます。同じ相手から8,000円の品を2点まとめて買い取れば16,000円なので、確認と記載が必要になります。1点ずつで見ると判定を誤ります。
Q. 古本を1冊300円で買い取りました。書かなくていいですか。
必要です。書籍は施行規則16条2項7号に挙げられていて、1万円未満の免除から外れます。確認をして台帳にも記載します。
Q. 衣類を売ったときは、本当に台帳に書かなくていいのですか。
施行規則18条1項により、引き渡したときに記載義務があるのは美術品類・時計宝飾品類・自動車・自動二輪車等の4区分だけです。衣類の引渡しは免除されます。
Q. 腕時計を8,000円で売ったときはどうなりますか。
記載が必要です。引渡しの判定は施行規則18条1項の区分だけで決まり、1号から3号には金額の線引きがありません。金額で外れるのは4号(自動二輪車等)の部分品だけです。
Q. 自分の店で売った品を買い戻すときも書きますか。
法15条2項2号により、自己が売却した物品をその売却の相手方から買い受ける場合は、確認も記載も不要です。金額は問いません。ただし相手が違えば適用されないので、自店の売却記録と結び付けておく必要があります。
Q. 委託販売を引き受けたときはどう判定しますか。
法15条1項が「売却若しくは交換の委託を受けようとするとき」も対象にしているため、確認と記載の対象です。委託を受ける時点では対価の総額が決まっていないので1万円未満とは判定できず、免除を当てにしない運用が安全です。
Q. エアコンの室外機を5,000円で買い取るときも台帳に書きますか。
書きます。2025年10月1日から、エアコンの室外機と電気温水機器のヒートポンプは施行規則16条2項2号に加わり、1万円未満でも確認と記載が必要です。電線(5号)と金属製のグレーチング(6号)も同じです。
Q. 1万円は税込で判定しますか。
警察庁の解釈運用基準は、対価の総額の1万円に消費税を含まないとしています。消費税を除いた額が1万円以上なら、確認と記載が必要です。
Q. 免除される取引を台帳に書いてしまっても問題ありませんか。
問題ありません。書きすぎることは違反になりません。ただし、免除であることが分かる印を備考に残しておくと、相手方が空欄の理由をあとから説明できます。
古物台帳(Excel・無料)古物営業法16条の記載事項5つを、別記様式第15号の「受入れ/払出し」構成で持たせた台帳。取引区分と古物の区分を選ぶと、規則18条の記載義務と規則16条の確認義務を自動で判定する。保存の起算日は最終記載日。
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本記事は法令および官公庁の公表資料をもとに整理した参考情報です。法令への適合を保証するものではありません。実際の義務内容は e-Gov法令検索および所管官庁にご確認ください。内容は2026-10-03時点のものです。