運行指示書の書き方|記載7項目と写しの保存
運行指示書とは、対面の点呼ができない運行について、行き先・経路・休憩地点などをあらかじめ書いて運転者に持たせる書面です。貨物自動車運送事業輸送安全規則9条の3が作成・携行・保存を求めています。「1泊2日だから要る」という覚え方をしていると、判定を外します。条文の入口は、日をまたぐかどうかではありません。
この記事では、どの運行に必要かの判定から、7号の記載事項、運行の途中で予定が変わったときの直し方、保存の起算日までを条文の並びどおりに整理します。まず、1枚の運行指示書がたどる流れから見てください。
この記事の内容(7項目)
- 運行指示書が必要になる運行は「対面の点呼ができない運行」
- 「1泊2日だから要る」と覚えると何が起きるか
- 運行を組む段階で判定する
- 運行指示書の記載事項は7号|4号と7号が空欄になりやすい
- 4号「注意を要する箇所」に何を書くか
- 3号の「主な経過地」はどこまで刻むか
- 7号は様式の作り方で決まる
- 運行指示書の写しは、予定が変わったときに使う
- 変わったのが4号から7号だけのとき
- 運転者にどう書かせるか
- 運行の途中で必要になったときは、そこから先だけ作る
- 営業所の側で作って控える
- 運行指示書の保存期間は「運行の終了の日から1年」
- 帰着したときに回収する
- 1年を過ぎたものをどう扱うか
- 運行指示書で巡回指導に指摘されるところ
- 点呼の記録と一緒に見る
- 運転者側の記録ともつなぐ
- よくある質問
運行指示書が必要になる運行は「対面の点呼ができない運行」
運行指示書が必要になるのは、輸送安全規則7条3項に規定する業務を含む運行です。9条の3第1項は、次のように書かれています。
一般貨物自動車運送事業者等は、第七条第三項に規定する業務を含む運行ごとに、次の各号に掲げる事項を記載した運行指示書を作成し、これにより事業用自動車の運転者等に対し適切な指示を行い、及びこれを当該運転者等に携行させなければならない。
その7条3項は、乗務前と乗務後の点呼のいずれも対面(又は国土交通大臣が定める同等の方法)で行うことができない業務について、途中で少なくとも1回の点呼を行うことを定めた条文です。いわゆる中間点呼の根拠にあたります。
つまり判定の軸は「日をまたぐかどうか」ではなく、「出るときと帰ってくるときの点呼が両方とも対面等でできないかどうか」です。泊まりの運行でこれに当たることが多いため、結果として1泊2日の運行が例に出るだけです。
運行指示書が要る
- 出発の点呼も帰着の点呼も、対面等でできない運行
- 日帰りでも、両方の点呼が対面等でできなければ対象
- 中間点呼(7条3項)が必要になる運行と重なる
運行指示書は要らない
- 出発か帰着のどちらかが対面等でできる運行
- 日をまたいでも、営業所に戻って対面の点呼を受けるなら対象外
- 2泊でも同じ。泊数では決まらない
| 輸送安全規則7条 | 何の点呼か | 運行指示書との関係 |
|---|---|---|
| 1項 | 業務前の点呼 | 対面等でできるなら、この運行は対象外 |
| 2項 | 業務後の点呼 | 同上 |
| 3項 | 中間点呼(1項2項のいずれも対面等でできない業務) | この業務を含む運行が対象 |
「1泊2日だから要る」と覚えると何が起きるか
泊数で判定すると、2つの方向で間違えます。ひとつは日帰りの長距離運行で、両方の点呼が対面等でできないのに作っていない形。もうひとつは、途中で営業所に戻って対面の点呼を受けているのに、泊まりだからと作り続けている形です。
後者は書類が増えるだけなので実害は小さく見えますが、必要な運行で抜けている状態と隣り合わせで起こります。判定の軸そのものを点呼に置き換えておかないと、どちらの間違いも消えません。
運行を組む段階で判定する
運行指示書は、運転者が出発する前に手元になければ意味がありません。判定するのは配車の段階です。
実務では、運行のパターンごとに「この運行は対象」と決めておく形が扱いやすくなります。毎回ゼロから判定すると、急な運行のときに抜けます。
運行指示書の記載事項は7号|4号と7号が空欄になりやすい
運行指示書の記載事項は、9条の3第1項の1号から7号までの7つです。条文の並びのまま挙げると、次のようになります。
| 号 | 記載すること | 書くときの注意 |
|---|---|---|
| 1号 | 運行の開始及び終了の地点及び日時 | 地点と日時の両方。片方だけにしない |
| 2号 | 乗務員等の氏名 | 交替者がいるなら全員 |
| 3号 | 運行の経路並びに主な経過地における発車及び到着の日時 | 経路と、主な経過地ごとの発着時刻 |
| 4号 | 運行に際して注意を要する箇所の位置 | 空欄になりやすい欄 |
| 5号 | 乗務員等の休憩地点及び休憩時間 | 休憩がある場合に限る |
| 6号 | 乗務員等の運転又は業務の交替の地点 | 交替がある場合に限る |
| 7号 | その他運行の安全を確保するために必要な事項 | 様式の作り方で中身が決まる |
1号から4号には条件が付いていません。4号の「注意を要する箇所の位置」は、該当が無いから空けてよい欄ではありません。5号6号のような「ある場合に限る」という限定が、4号には書かれていないためです。
4号「注意を要する箇所」に何を書くか
条文は箇所の中身までは決めていません。実際に書かれているのは、踏切、急勾配、幅員の狭い区間、冬季の凍結箇所、事故が起きやすい交差点といったものです。
同じ経路を何度も走るなら、経路ごとに一覧を作っておくと毎回書き起こさずに済みます。運行指示書の様式にその一覧から転記する形にすれば、書く手間はほとんど増えません。
新しい経路のときは、地図と過去の運行の記録から拾います。運転者から聞き取った内容を足していくと、回を重ねるごとに使える一覧になります。
3号の「主な経過地」はどこまで刻むか
3号は、経路と、主な経過地における発車及び到着の日時を求めています。主な経過地をひとつも書かずに、出発地と到着地だけを書いた運行指示書は、3号の要件を満たしません。
刻み方の目安は条文にありません。積卸しの地点、休憩の地点、経路が大きく変わる地点を拾えば、実務上はおおむね足ります。
条件が付いていない号
- 1号 開始及び終了の地点及び日時
- 2号 乗務員等の氏名
- 3号 経路と主な経過地の発着日時
- 4号 注意を要する箇所の位置
「ある場合に限る」が付いた号
- 5号 休憩地点及び休憩時間
- 6号 運転又は業務の交替の地点
- (7号は「その他必要な事項」)
7号は様式の作り方で決まる
7号の「その他運行の安全を確保するために必要な事項」は、幅のある欄です。ここを空けたまま様式を配ると、何も書かれません。
あらかじめ項目を立てておくと埋まります。天候、積載物の注意、連絡先、指示を行った運行管理者の氏名。様式の側に欄を作るところまでが準備です。
運行指示書の写しは、予定が変わったときに使う
運行指示書の写しは、運行の途中で1号又は3号の事項が変わったときに、変更の内容を書き込むためのものです。9条の3第2項が定めています。
…前項に規定する運行の途中において、同項第一号又は第三号に掲げる事項に変更が生じた場合には、運行指示書の写しに当該変更の内容…を記載し、これにより運転者等に対し電話その他の方法により当該変更の内容について適切な指示を行い、及び当該運転者等が携行している運行指示書に当該変更の内容を記載させなければならない。
ここで求められているのは、3つの動作をすべて行うことです。営業所の写しに書く、電話等で指示する、運転者が持っている運行指示書にも書かせる。
巡回指導で指摘されるのは、たいてい3つ目です。営業所の写しには赤字で書き足されているのに、運転者が持ち帰った運行指示書は出発時のままになっている、という形になります。
変わったのが4号から7号だけのとき
2項が変更の対象として挙げているのは、1号(開始及び終了の地点及び日時)と3号(経路と主な経過地の発着日時)です。ただし括弧書きで、その変更に伴って4号から7号に生じた変更の内容も含むとされています。
経路が変われば注意を要する箇所も休憩地点も動くので、実務上は一緒に直すことになります。1号3号が動いていないのに4号だけを直す場面は、そう多くありません。
運転者にどう書かせるか
運転者が携行している運行指示書に書かせる以上、書く場所が必要です。様式に変更記入欄を作っておくと、余白に走り書きされる形を避けられます。
変更の日時、誰から誰への指示か、変わった内容。この3つが入る欄があれば足ります。帰着後に写しと突き合わせるときも早くなります。
運行の途中で必要になったときは、そこから先だけ作る
運行指示書は、最初は対象でなかった運行が途中で対象になった場合にも作ることになります。9条の3第3項が、この場面を別に定めています。
…第一項に規定する運行以外の運行の途中において、事業用自動車の運転者等に第七条第三項に規定する業務を行わせることとなった場合には、当該業務以後の運行について、第一項各号に掲げる事項を記載した運行指示書を作成し、及びこれにより当該運転者等に対し電話その他の方法により適切な指示を行わなければならない。
1項との違いは2つあります。ひとつは対象が「当該業務以後の運行」に限られること。もうひとつは、携行させる、という文言が無いことです。運転者はすでに出ているので、渡しようがありません。
1項(出発前から対象)
- 運行ぜんぶについて作る
- 運転者に携行させる
- 出発前に手元にある
3項(途中から対象になった)
- その業務以後の運行について作る
- 電話その他の方法で指示する
- 携行させる定めは置かれていない
この場面は、帰りの便が急に決まった、荷待ちで帰着が翌日になった、といった形で起こります。決まった時点で作っていないと、後から日付をさかのぼって作る形になります。
営業所の側で作って控える
3項の運行指示書は、営業所で作ります。作ったうえで電話等で指示し、その控えが保存の対象になります。
実務では、電話で指示した時刻と、指示を行った運行管理者の氏名を控えに残しておくと、後から経過が追えます。作成の日時が運行の途中になっているのは、3項の運行ではむしろ正しい形です。
運行指示書の保存期間は「運行の終了の日から1年」
運行指示書の保存期間は、運行の終了の日から1年間です。9条の3第4項が、運行指示書とその写しの両方を対象にしています。
一般貨物自動車運送事業者等は、運行指示書及びその写しを運行の終了の日から一年間保存しなければならない。
起算日は、作成した日でも、運転者に渡した日でもありません。運行の終了の日です。日をまたぐ運行では、作成日と起算日が別の日になります。
| 何を | いつから | どのくらい | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 運行指示書(携行していたもの) | 運行の終了の日 | 1年間 | 9条の3第4項 |
| 運行指示書の写し(営業所の分) | 運行の終了の日 | 1年間 | 同上 |
| 点呼記録簿 | 記録した日 | 1年間 | 7条5項 |
写しだけを残して、運転者が持ち帰った運行指示書を捨ててしまう形が起こります。4項は「運行指示書及びその写し」と書いているので、両方が保存の対象です。変更が入った運行では、2枚を突き合わせて初めて指示の経過が読めます。
帰着したときに回収する
携行していた運行指示書は、運転者が持ったままになりやすい書面です。帰着後の点呼と同じ流れで回収する形にしておくと、手元に残りません。
回収したら、営業所の写しと同じ運行の束にまとめます。別々に綴じると、1年後に片方だけ残る形になります。
1年を過ぎたものをどう扱うか
保存期間を過ぎた運行指示書は、廃棄しても差し支えありません。とはいえ、事故や苦情の調査が続いている運行は、期間が過ぎても手元に置いておくほうが説明できます。
保存年数の考え方そのものは書類の種類ごとに違います。起算日の取り違えは、年数の間違いよりよく起きます。
運行指示書で巡回指導に指摘されるところ
運行指示書で指摘が集まるのは、作っていないことよりも、作ったあとが続いていないことです。実際に見られる順に並べると、次のようになります。
| 指摘される形 | 何が起きているか |
|---|---|
| 対象の運行に指示書が無い | 泊数で判定していて、日帰りの長距離が抜けている |
| 4号の欄がすべて空欄 | 「該当なし」と思っている。条件が付いていない号 |
| 主な経過地が書かれていない | 出発地と到着地だけで3号を満たしたことにしている |
| 携行分に変更が書かれていない | 電話で伝えて終わりにしている(2項の3つ目) |
| 携行分が残っていない | 写しだけ保存している(4項は両方が対象) |
| 指示した運行管理者が分からない | 7号の欄を作っていない |
上の2つは、判定の軸と様式を直せば止まります。様式に欄が無いものは、どれだけ気をつけても埋まりません。下の3つは、帰着時の流れに回収と突き合わせを入れるところで止まります。
点呼の記録と一緒に見る
運行指示書が必要になる運行は、中間点呼が必要になる運行と重なります。点呼記録簿に中間点呼の記録があるのに運行指示書が無ければ、そこが抜けている運行です。
逆に、運行指示書があるのに中間点呼の記録が無いという形もあります。どちらから見ても、片方の帳簿がもう片方の抜けを教えてくれます。点呼記録簿の書き方と合わせて見ると、この突き合わせができます。
運転者側の記録ともつなぐ
誰がその運行に乗ったかは、2号の氏名で残ります。その運転者の教育や適性診断の状況は運転者等台帳の側にあります。
監査や巡回指導では、1つの運行から関係する帳簿をたどられます。運行指示書だけを整えても、たどった先が空欄だと同じことになります。
よくある質問
- Q. 運行指示書は1泊2日の運行に必要なのですか。
- 泊数では決まりません。輸送安全規則9条の3第1項は「第七条第三項に規定する業務を含む運行ごとに」と定めていて、7条3項は乗務前と乗務後の点呼のいずれも対面等で行うことができない業務を指しています。日帰りでも両方の点呼が対面等でできなければ対象になり、逆に日をまたいでも営業所に戻って対面の点呼を受けるなら対象外です。
- Q. 運行指示書の記載事項は何項目ですか。
- 9条の3第1項の1号から7号までの7項目です。このうち5号(休憩地点及び休憩時間)と6号(運転又は業務の交替の地点)には「ある場合に限る」という限定が付いています。1号から4号には付いていません。
- Q. 「注意を要する箇所の位置」は該当が無ければ空欄でよいですか。
- 4号には「ある場合に限る」という限定が置かれていません。5号6号にだけ付いている点から見ても、該当が無いことを前提にした欄ではありません。踏切、急勾配、幅員の狭い区間、凍結箇所など、経路から拾える内容を書くことになります。
- Q. 経路が変わったとき、営業所の写しに書けばよいですか。
- 9条の3第2項は3つを求めています。運行指示書の写しに変更の内容を記載すること、電話その他の方法で運転者に指示すること、そして運転者が携行している運行指示書にも変更の内容を記載させることです。写しに書くだけでは足りません。
- Q. 運行の途中で泊まりになったときは、どうすればよいですか。
- 9条の3第3項が定めています。その業務以後の運行について運行指示書を作成し、電話その他の方法で適切な指示を行います。運行の全体ではなくその業務以後の分で足り、また3項には携行させるという定めは置かれていません。
- Q. 運行指示書の保存期間はいつからいつまでですか。
- 9条の3第4項により、運行の終了の日から1年間です。作成した日ではありません。日をまたぐ運行では、作成日と起算日が別の日になります。
- Q. 運転者が持ち帰った運行指示書は捨ててよいですか。
- 4項は「運行指示書及びその写し」と書いているため、両方が保存の対象です。携行していた分を捨てると、変更が入った運行で指示の経過が追えなくなります。帰着後の点呼と同じ流れで回収する形にしておくと残ります。
- Q. 運行指示書と運行管理規程は別のものですか。
- 別のものです。運行指示書は個々の運行について作る書面で、9条の3が根拠です。社内の運行管理の体制を定める規程とは、作る単位も根拠も異なります。
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本記事は法令および官公庁の公表資料をもとに整理した参考情報です。法令への適合を保証するものではありません。実際の義務内容は e-Gov法令検索および所管官庁にご確認ください。内容は2026-09-22時点のものです。