告示で定める点呼の方法|遠隔点呼と自動点呼は届出が要る
規則は方法の中身を書いていません。「国土交通大臣が定める方法」として、告示に委ねています。
だから、やってよい方法と、その要件は告示を見ないと分かりません。しかも告示は改正が続いています。
この記事では、規則と告示の関係と、届出の期限を整理します。
| どこに書いてあるか | 中身 |
|---|---|
| 輸送安全規則7条1項 | 「国土交通大臣が定める方法」により行える |
| 告示(令和5年国交省告示266号) | その方法と要件 |
| 通達 | 解釈と運用、機器の認定要領 |
| 運輸支局への届出 | 始める前に出す |
この記事の内容(7項目)
- 遠隔点呼と自動点呼は告示で決まっている
- 「IT点呼」は告示の言葉ではない
- 告示は改正が続いている
- 通達もセットで出ている
- この記事で書かないこと
- 遠隔点呼は実施の10日前までに届け出る
- 10日前は逆算の起点になる
- 届出までに決めておくこと
- 被実施営業所を増やすとき
- 終わるときも出す
- 遠隔点呼を他社と行うときは許可が要る
- 変更と終了は15日以内
- 契約が要る
- 運行管理業務の一元化は別の枠組み
- 遠隔点呼でも変わらないこと
- 記録の作りは見直す
- 記録の列は何を足すか
- 電話その他の方法とは別
- 中間点呼の扱いも見る
- 遠隔点呼を入れる前に確かめること
- 全部を置き換えなくてよい
- 運輸支局に確かめる
- 社内の手順書も作る
- 始めたあとに見るもの
- 遠隔点呼の書類を何年残すか
- 届出の控えは営業所に置く
- 告示の版も控えておく
- 一覧に載せる
- よくある質問
遠隔点呼と自動点呼は告示で決まっている
貨物自動車運送事業輸送安全規則7条1項は、「対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法」という書き方をしています。
国土交通省は、この方法を告示で定めています。「対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法を定める告示」(令和5年国土交通省告示第266号)です。
告示で認められている方法は、遠隔点呼と自動点呼の2つです。自動点呼には業務前と業務後があります。
「IT点呼」は告示の言葉ではない
現場では「IT点呼」という呼び名が長く使われてきました。ただし、いまの告示の枠組みの言葉ではありません。
調べるときや届け出るときは、「遠隔点呼」「自動点呼」という言葉で探します。古い呼び名で探すと、古い資料に当たります。
告示は改正が続いている
令和5年の告示266号のあと、令和6年告示278号、令和7年告示347号、令和8年告示792号と改正が重なっています。
数年前の解説を読んで判断すると、いまの要件と違います。導入するときは、改正後の全文を見ます。国土交通省のページに改正後全文が置かれています。
通達もセットで出ている
告示だけでは運用が決まりません。国土交通省は、解釈及び運用についての通達、自動点呼機器の認定要領、運行管理業務の一元化の実施要領を合わせて出しています。
機器を選ぶときに見るのは認定要領のほうです。告示の本文に、個別の機器の名前が並んでいるわけではありません。
順番としては、告示で「何ができるか」を押さえ、認定要領で「どの機器なら使えるか」を見ます。逆から入ると、買ってから要件に合わないことが分かります。
この記事で書かないこと
機器の要件や施設の要件は告示の側にあります。本文を読まずに要件を並べると、改正の前の内容を書くことになります。
ここでは、規則との関係と届出の期限までにします。要件そのものは告示と通達で確かめます。
遠隔点呼は実施の10日前までに届け出る
始める前に、運輸支局へ届出が要ります。機器をそろえただけでは始められません。
| 何を | どこへ | いつまでに |
|---|---|---|
| 遠隔点呼の実施に係る届出書 | 実施側と被実施側の双方の管轄運輸支局長等 | 実施予定日の原則10日前 |
| 遠隔点呼の変更に係る届出書 | 実施している営業所の管轄 | 変更の実施に先立ち |
| 遠隔点呼の終了に係る届出書 | 双方の管轄 | 終了しようとするとき、遅滞なく |
| 自動点呼の実施に係る届出書 | 実施しようとする営業所の管轄 | 実施予定日の原則10日前 |
遠隔点呼は「双方」に出すところが要点です。点呼をする側の営業所と、される側の営業所の両方の管轄へ出します。
10日前は逆算の起点になる
機器の準備、社内の手順づくり、届出。届出を最後に回すと、10日ぶん開始が後ろへずれます。
開始日を決めたら、そこから10日を引いた日を届出の期限として段取りに入れます。
届出までに決めておくこと
届出書には、どこの営業所とどこの営業所で行うかを書きます。その前に、社内で決めておくものがあります。
| 決めること | 中身 |
|---|---|
| 実施する営業所 | 点呼を行う側 |
| 被実施の営業所 | 点呼を受ける側 |
| 開始する日 | そこから10日を引いた日が届出の期限 |
| 対象の時間帯 | 全部か、一部か |
| 行う人 | 運行管理者か補助者か |
「とりあえず全営業所で」と書くと、機器も手順もそろっていない営業所まで対象になります。始める範囲は小さくしておくほうが動きます。
あとから増やすときは変更届で足せます。最初から広げておく必要はありません。
被実施営業所を増やすとき
すでに実施している営業所に、新しく被実施側の営業所を足す場合があります。そのときは「変更届出書」に追加する旨を記載して、実施側の管轄へ出す形です。
新規の届出をもう一度出すのではありません。
終わるときも出す
やめるときも届出が要ります。「遅滞なく」なので、やめてから思い出すのでは遅くなります。
やめる判断をした時点で、届出も段取りに入れます。
遠隔点呼を他社と行うときは許可が要る
自社の営業所どうしではなく、他社との間で行う遠隔点呼は、届出ではなく許可になります。
自社内の遠隔点呼
- 届出
- 原則10日前
- 双方の管轄運輸支局長等へ
事業者間遠隔点呼
- 業務の管理受委託の許可申請
- 2か月前まで
- 受託営業所の管轄運輸支局長等へ
「遠隔点呼」でひとくくりに覚えていると、2か月の差で止まります。他社が関わるかどうかを先に切り分けます。
変更と終了は15日以内
事業者間遠隔点呼では、変更が生じてから15日以内に変更届出書、受委託契約を終了してから15日以内に終了届出書を出す形になっています。
自社内の遠隔点呼(変更は先立って、終了は遅滞なく)とは期限の書き方が違います。
契約が要る
他社との受委託なので、契約が前提になります。国土交通省がモデル契約書とモデル細目を公表しています。
自己点検表も置かれているので、始める前に一度通しておきます。
運行管理業務の一元化は別の枠組み
複数の営業所の運行管理業務を1か所に集める仕組みも、別に用意されています。こちらも実施予定日の原則10日前までの届出です。
遠隔点呼とは別の届出なので、両方やるなら両方出します。
遠隔点呼でも変わらないこと
方法が変わっても、規則7条が求めている中身は変わりません。
| 規則7条 | 内容 | 遠隔・自動でも |
|---|---|---|
| 1項1号 | 酒気帯びの有無 | 要る |
| 1項2号 | 疾病、疲労、睡眠不足その他のおそれの有無 | 要る |
| 1項3号 | 日常点検の実施又はその確認 | 要る |
| 1項 | 必要な指示を与える | 要る |
| 4項 | アルコール検知器を営業所ごとに備える | 要る |
| 5項 | 記録し1年間保存 | 要る |
4項は「運転者の状態を目視等で確認するほか、当該運転者の属する営業所に備えられたアルコール検知器を用いて」と書かれています。営業所ごとに備えることも、そこは変わりません。
記録の作りは見直す
「点呼の方法」は、もともと規則7条5項4号が記録するよう求めている項目です。方法が1つしかなかったので、書いていなかっただけという会社が多くあります。
遠隔点呼を入れるなら、対面・遠隔・自動・電話の4つを選べる形にしておきます。記録簿の書き方は点呼記録簿の書き方で整理しています。
記録の列は何を足すか
方法の欄だけでは足りない場面があります。遠隔点呼では、どの営業所から行ったかも残しておくと説明しやすくなります。こちらは条文の項目ではなく、社内で足すものです。
| 列 | 書くこと |
|---|---|
| 点呼の方法 | 規則7条5項4号。対面/遠隔/自動/電話 |
| 実施した営業所 | 遠隔のときだけ書く |
| 行った者 | 運行管理者か補助者か |
| 検知器の使用 | 使用の有無と結果 |
| 日時 | 業務前か業務後か中間か |
紙のままでも列は足せます。様式を作り替えるより、まず欄を足すほうが早く始められます。
列がそろっていれば、月末に方法ごとの件数を数えられます。数えられる形にしておくことが、あとで効いてきます。
電話その他の方法とは別
告示の方法は、条文の上で対面と並ぶ本線です。運行上やむを得ない場合の電話とは位置づけが違います。
2つの違いは対面でできないときの点呼で整理しています。
中間点呼の扱いも見る
業務前も業務後も対面等でできない業務には、途中の点呼が要ります。遠隔点呼を入れたことで、この判断が変わる場面があります。
中間点呼は中間点呼はいつ要るかで整理しています。
遠隔点呼を入れる前に確かめること
機器を選ぶ前に、自社のどの点呼を置き換えたいのかを決めます。
「対面でできていない点呼がどこにあるか」を先に数えます。記録の方法の列で数えれば出ます。
全部を置き換えなくてよい
対面でできている点呼まで変える必要はありません。機器の費用も、届出も、増やした分だけかかります。
電話で回している時間帯だけを対象にすれば、範囲が小さくなります。
運輸支局に確かめる
告示と通達を読んでも、自社の形で通るかは判断が要ります。届出を出す前に一度相談しておくほうが、結果として早く済みます。
確かめた日と相手を記録に残しておけば、次に変更するときにも使えます。担当が替わったときにも、同じことをもう一度聞かずに済みます。
相談するときは、自社の営業所の並びと、どの時間帯を置き換えたいかを先に整理して持っていきます。「遠隔点呼をやりたい」だけでは、答えるほうも判断できません。
社内の手順書も作る
誰が、どこで、どの機器を使って行うか。運行管理者と補助者の役割も書いておきます。
手順が無いまま始めると、人によってやり方が変わります。
始めたあとに見るもの
入れて終わりではありません。方法の列で月に1回数えて、電話での点呼が減ったかを見ます。
減っていないなら、置き換える範囲が合っていません。
遠隔点呼の書類を何年残すか
点呼の記録そのものは、規則7条5項により1年間です。方法が変わっても同じです。
| 書類 | 年数の考え方 |
|---|---|
| 点呼記録簿 | 規則7条5項により1年 |
| 届出書の控え | 実施しているあいだ(会社が決める) |
| 機器の認定に関する書類 | 機器を使っているあいだ |
| 事業者間の契約書 | 契約の年数に従う |
| 社内の手順書 | 版を替えたら前の版も残す |
届出書の控えを残していないと、いつから実施しているかを示せません。変更届を出すときにも、前に何を出したかが要ります。
届出の控えは営業所に置く
実施している営業所で説明できる形にしておきます。本社にしか無いと、その場で出せません。
置き場所の考え方は書類をどこに置くかで整理しています。
告示の版も控えておく
改正が続いているので、いつ時点の告示にもとづいて届け出たかを書いておくと、次の改正のときに見直す範囲が分かります。
「令和◯年告示◯号にもとづき届出」と1行あれば足ります。
一覧に載せる
年数の一覧に、点呼記録簿(1年)と届出の控え(社内で決めた年数)を分けて書きます。
一覧は会社に必要な書類の保存年数を業種横断で並べる、起算日は保存年数より間違えやすいのは起算日にあります。
よくある質問
- Q. 遠隔点呼はどこに書いてありますか。
- 規則には書かれていません。貨物自動車運送事業輸送安全規則7条1項が「対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法」として告示に委ねていて、その告示(令和5年国土交通省告示第266号)が方法と要件を定めています。
- Q. 「IT点呼」という言葉は使えますか。
- 現場では長く使われてきましたが、いまの告示の枠組みの言葉ではありません。調べるときや届け出るときは「遠隔点呼」「自動点呼」で探します。古い呼び名で探すと、古い資料に当たります。
- Q. 機器をそろえれば始められますか。
- 始められません。運輸支局への届出が要ります。遠隔点呼も自動点呼も、実施予定日の原則10日前までに届出書を出します。
- Q. 届出はどこに出しますか。
- 遠隔点呼は、実施側と被実施側の双方の管轄運輸支局長等に出します。自動点呼は、実施しようとする営業所を管轄する運輸支局長等です。
- Q. 被実施営業所を増やすときは新しく届け出ますか。
- 変更届出書に追加する旨を記載して、実施側の管轄運輸支局長等に出す形です。新規の届出をもう一度出すのではありません。
- Q. やめるときも手続きが要りますか。
- 要ります。終了に係る届出書を、終了しようとするときに遅滞なく出します。やめてから思い出すのでは遅くなるので、やめる判断をした時点で段取りに入れます。
- Q. 他社と遠隔点呼をする場合は同じですか。
- 違います。事業者間遠隔点呼は、業務の管理受委託の許可申請になり、行う2か月前までに受託営業所の管轄運輸支局長等へ出します。変更と終了の届出も15日以内という別の期限です。10日前のつもりでいると2か月足りません。
- Q. 告示の要件を教えてください。
- この記事では扱いません。告示は令和6年・令和7年・令和8年と改正が重なっていて、本文を読まずに要件を並べると改正前の内容を書くことになります。国土交通省のページに改正後の全文が置かれているので、導入するときはそちらを見ます。
- Q. 遠隔点呼にすると確認する項目は減りますか。
- 減りません。規則7条1項の3つ(酒気帯びの有無、疾病・疲労・睡眠不足その他のおそれの有無、日常点検の実施又はその確認)も、必要な指示を与えることも、アルコール検知器を営業所ごとに備えることも、記録を1年保存することも、すべて同じです。
- Q. 記録簿はそのままでよいですか。
- 「点呼の方法」は規則7条5項4号がもともと記録を求めている項目です。方法が1つしかなかったので書いていなかった、という会社が多くあります。対面・遠隔・自動・電話の4つを選べる形にしておけば、あとでどの方法が何回あったかを数えられます。
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本記事は法令および官公庁の公表資料をもとに整理した参考情報です。法令への適合を保証するものではありません。実際の義務内容は e-Gov法令検索および所管官庁にご確認ください。内容は2026-09-28時点のものです。