点呼でつまずきやすい5つ|空欄・検知器・補助者
点呼そのものは毎日やっています。つまずくのは、やっているのに記録から読み取れない形になっているときです。
条文を1行ずつ見ていくと、抜けやすいところは決まっています。
| つまずくところ | 条文 |
|---|---|
| 「点呼の方法」の欄が無い | 7条5項4号 |
| 指示の内容を書いていない | 7条1項・5項 |
| 検知器を営業所ごとに備えていない | 7条4項 |
| 補助者に任せる範囲が決まっていない | 18条+通達 |
| 1年の起算日を運行の日で数えている | 7条5項 |
この記事の内容(7項目)
- 点呼の記録に「方法」の欄が無い
- 選べる形にしておく
- あとで数えられる
- 電話が多い月は理由を書く
- 様式を直す時期
- 点呼で与えた指示を書いていない
- 毎日同じ文でも書く
- 何を書けば指示になるか
- 確認の結果と指示をつなげる
- 業務終了時には指示は要らない
- 書く場所を決める
- 点呼のアルコール検知器を営業所ごとに備えていない
- 常時有効に保持とは
- 有効に保持できていない状態
- 予備を置く
- 「当該運転者の属する営業所」の意味
- 数値をどう残すか
- 点呼を補助者に任せる範囲が決まっていない
- 割合は通達の側にある
- 補助者を置く前に決めること
- 選任の記録を残す
- 異常があったときの扱いを決める
- 講習の修了証も残す
- 点呼の記録を1年より短く捨てている
- 月ごとに綴じる
- 運行指示書とは起算日が違う
- 電子で残すとき
- 点呼のつまずきを月に1回見直す
- 誰が見るかを決める
- 数えた結果を残す
- 増えたときに手を打つ
- 他の記録とまとめて見る
- よくある質問
点呼の記録に「方法」の欄が無い
規則7条5項は、記録する項目を号で並べています。4号が「点呼の方法」です。
| 号 | 書くこと | 空きやすさ |
|---|---|---|
| 1号 | 点呼を行った者及び受けた運転者等の氏名 | 低い |
| 2号 | 自動車登録番号又は車両番号その他識別できる表示 | 低い |
| 3号 | 点呼の日時 | 低い |
| 4号 | 点呼の方法 | 高い |
| 5号 | その他必要な事項 | — |
対面しかやっていない会社では、方法の欄そのものが様式に無いことがあります。それでも条文は書くよう求めています。
選べる形にしておく
毎回手書きすると、書かない日が出ます。対面・遠隔・自動・電話を並べて、丸を付ける形にしておきます。
選ぶだけなら数秒です。書く形より続きます。
紙のままでも足せます。様式を作り直すより、いまの用紙の空いているところに欄を書き足すほうが早く始められます。そのうえで、次に印刷するときに正式な様式へ入れます。
あとで数えられる
方法の列があると、月末に数えられます。電話が何回あったかが分かれば、対面でできていない場面が見えます。
その場面をどう減らすかが、次の手になります。
電話が多い月は理由を書く
1項は「運行上やむを得ない場合は電話その他の方法」としています。やむを得ない場合にあたるかを説明できないと、数が多いこと自体が問われます。
理由の欄を作り、その場で1行書いておきます。あとから思い出して書くことはできません。
様式を直す時期
方法が増える前に直します。増やしてから直すと、始めた日から数日ぶんが違う形になります。
書き方は点呼記録簿の書き方にまとめています。
点呼で与えた指示を書いていない
7条1項は、報告を求め、確認を行い、「並びに事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な指示を与えなければならない」と書いています。
5項も「報告、確認及び指示の内容」を記録の対象にしています。指示は、行うことも書くことも条文にあります。
毎日同じ文でも書く
「安全運転」とだけ書いた記録が並ぶことがあります。書いていないよりはよいものの、その日の運行に向けた指示にはなっていません。
天候、道路の状況、その日の荷物。何か1つ、具体を入れます。
何を書けば指示になるか
指示は長い文でなくてかまいません。その日に効くものが1つ入っていれば足ります。
| その日の材料 | 指示の例 |
|---|---|
| 雨の予報 | 下り坂での車間を長めに取る |
| 前日の睡眠が短い | 午前中に一度多く休憩を入れる |
| 荷が重い | 発進と停止をゆるやかに |
| はじめての行き先 | 到着前に一度連絡を入れる |
| 前回ヒヤリがあった交差点 | その場所を名指しで伝える |
材料が無いのではなく、拾う手順が無いだけです。点呼の前に天気を見る、というだけで変わります。
確認の結果と指示をつなげる
睡眠時間が短いと聞いたなら、そこに対する指示が続くはずです。聞いた内容と指示が噛み合っていると、記録として読めます。
噛み合っていないと、聞いただけになります。
記録を読み返す人は、その日の会話を知りません。記録だけを見て、確認した内容と、それに対して何を伝えたかがつながって読めるかどうかで判断されます。
業務終了時には指示は要らない
2項には指示の文言がありません。業務終了時は、報告を求めることと酒気帯びの確認です。
3項の中間点呼には指示が書かれています。項ごとに求めるものが違います。
書く場所を決める
指示欄が小さいと、1語で終わります。1行ぶんの幅を取っておくと、書ける内容が変わります。
様式の作りが、書かれる内容を決めています。
点呼のアルコール検知器を営業所ごとに備えていない
7条4項は、条件を2つ重ねています。
備える側
- 営業所ごとに備える
- 常時有効に保持する
- 告示で定めるもの
使う側
- 運転者の状態を目視等で確認
- そのうえで検知器を用いる
- 当該運転者の属する営業所のもの
「目視等で確認するほか」なので、検知器だけでも足りません。両方やります。
常時有効に保持とは
電池切れ、故障、校正期限切れ。どれも「有効に保持」していない状態です。
点検の周期を決めて、記録を残します。壊れていることに使う日まで気づかない形にしません。
有効に保持できていない状態
「常時有効に保持」を、何が満たしていないかで見ると分かりやすくなります。
有効に保持できている
- 電源が入り、数値が出る
- 校正の期限内
- 使える予備がある
できていない
- 電池切れのまま置いてある
- 校正の期限が過ぎている
- 壊れていることに誰も気づいていない
点検の周期を決めて、やった記録を残します。使う日に壊れていることが分かる形にしません。
予備を置く
1台しかないと、壊れた日に点呼ができません。壊れたことを理由に飛ばすと、条文の側は待ってくれません。
営業所ごとに、少なくとも使える状態のものが1台ある形にします。
「当該運転者の属する営業所」の意味
出先で他社の検知器を借りても、条文の要件にはなりません。携帯型のものを、営業所の備品として持たせる形が実務で使われています。
中間点呼のときも同じです。中間点呼はいつ要るかで整理しています。
数値をどう残すか
5項5号の「その他必要な事項」として、検知器の使用の有無と結果を書く欄を作っておきます。有無だけだと、使ったかどうかしか残りません。
結果まで残しておくと、あとから説明できます。
点呼を補助者に任せる範囲が決まっていない
規則18条は、補助者を選任できることと、誰を選べるかを書いています。
| 補助者に選べる人 | 根拠 |
|---|---|
| 運行管理者資格者証を有する者 | 規則18条 |
| 道路運送法23条の2第1項の資格者証を有する者 | 規則18条 |
| 国土交通大臣が告示で定める講習を修了した者 | 規則18条 |
早朝や深夜を回すために補助者を置くのは、条文の想定どおりです。置くこと自体は問題になりません。
割合は通達の側にある
補助者が行える点呼の範囲については、規則ではなく通達「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」(平成15年3月10日 国自総第510号ほか)で示されています。
この記事では数値を書きません。改正が入るところなので、国土交通省が出している最新の本文で確かめてください。
補助者を置く前に決めること
人を決めるより先に、どの時間帯を任せるかを決めます。
「手が空いている人に頼む」形だと、資格の確認が飛びます。順番を決めておきます。
選任の記録を残す
誰を補助者にしたかを書いた記録が無いと、点呼を行った者の氏名を見ても、資格のある人かどうかが分かりません。記録簿の氏名だけでは足りません。
選任した日、資格の根拠(資格者証か講習修了か)を残しておきます。
異常があったときの扱いを決める
補助者が点呼をして、酒気帯びや体調に異常が出た場合。その場で誰に上げるかを決めておきます。
決まっていないと、判断が現場で止まります。手順書に1行書いておけば足ります。
講習の修了証も残す
講習を修了した者を補助者にしたなら、修了証の写しを保管しておきます。本人が持っているだけだと、会社の側で示せません。
選任の記録と修了証の写しは、点呼記録簿と同じ場所に置いておくと、聞かれたときに一度で出せます。
置き場所の考え方は書類をどこに置くかにあります。
点呼の記録を1年より短く捨てている
7条5項は「その記録を一年間保存しなければならない」です。
「1年だから、年が明けたら去年のぶんを捨てる」は早すぎます。1年は、点呼を行った日から数えます。
月ごとに綴じる
捨てる作業を楽にするには、月ごとに分けておくのがいちばん早い方法です。13か月目に入った月のぶんを、そのまま抜けます。
ばらばらに綴じていると、1枚ずつ日付を見ることになります。
運行指示書とは起算日が違う
運行指示書は「運行の終了の日から一年間」(規則9条の3)です。同じ1年でも、数え始めが違います。
起算日の考え方は保存年数より間違えやすいのは起算日にまとめています。
電子で残すとき
紙でなくてもかまいません。消す仕組みまで作らないと、増え続けます。
考え方は帳簿を電子で残すときにあります。
点呼のつまずきを月に1回見直す
5つを直したら、そのままにしません。月に1回、記録を数えるところまでを手順にします。
誰が見るかを決める
運行管理者が自分の点呼を見るなら、見る日を決めておきます。決まっていないと、忙しい月に飛びます。
月末の別の作業とまとめると続きます。
数えた結果を残す
1行でかまいません。「9月 電話12回、指示欄の空き3行」と書いておけば、次の月と比べられます。
比べられる形になっていないと、よくなったかどうかが分かりません。
置き場所は、点呼記録簿を綴じたファイルの表紙で足ります。別のところに書くと、見に行かなくなります。
増えたときに手を打つ
電話が増えているなら、運行の組み方か、告示の方法を入れるかの判断になります。
方法の選び方は告示で定める点呼の方法にまとめています。
他の記録とまとめて見る
点呼だけを見ても、原因が運行の側にあることがあります。運行指示書と並べて見ると、どの運行で電話になっているかが出ます。
指示書の書き方は運行指示書の書き方にあります。
よくある質問
- Q. 点呼の記録に「方法」を書く必要がありますか。
- あります。規則7条5項4号が「点呼の方法」を記録する項目として挙げています。対面しかやっていない会社では様式に欄が無いことがありますが、条文は書くよう求めています。
- Q. 指示の内容も書きますか。
- 書きます。5項が「報告、確認及び指示の内容」を記録の対象にしています。1項も「運行の安全を確保するために必要な指示を与えなければならない」と書いているので、行うことも書くことも条文にあります。
- Q. 毎日「安全運転」とだけ書いていますが問題ありますか。
- 書いていないよりはよいものの、その日の運行に向けた指示にはなっていません。天候、道路の状況、その日の荷物など、何か1つ具体を入れます。
- Q. 業務終了時にも指示は要りますか。
- 2項には指示の文言がありません。業務終了時は、事業用自動車・道路・運行の状況について報告を求めることと、酒気帯びの確認です。中間点呼(3項)には指示が書かれています。
- Q. アルコール検知器は目視の代わりになりますか。
- なりません。4項は「運転者の状態を目視等で確認するほか、当該運転者の属する営業所に備えられたアルコール検知器を用いて行わなければならない」としています。両方です。
- Q. 検知器が壊れた日はどうしますか。
- 4項は「営業所ごとに備え、常時有効に保持する」ことを求めています。壊れていることを理由に飛ばす形にはなっていないので、使える状態のものが常に1台ある形にしておきます。電池切れや校正期限切れも「有効に保持」していない状態です。
- Q. 誰でも補助者にできますか。
- できません。規則18条は、運行管理者資格者証を有する者、道路運送法23条の2第1項の資格者証を有する者、または国土交通大臣が告示で定める講習を修了した者のうちから選任できるとしています。
- Q. 補助者はどこまで点呼を行えますか。
- その範囲は規則ではなく、通達「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」(平成15年3月10日 国自総第510号ほか)で示されています。改正が入るところなので、国土交通省が出している最新の本文で確かめてください。この記事では数値を書いていません。
- Q. 点呼の記録は1年でよいですか。
- 規則7条5項が「その記録を一年間保存しなければならない」としています。起算日は点呼を行った日です。運行指示書は「運行の終了の日から一年間」(規則9条の3)で、同じ1年でも数え始めが違います。
- Q. 直したあとに何を見ればよいですか。
- 月に1回、方法の列で電話が何回あったか、指示欄の空きが何行あったか、検知器が使える状態かを数えます。1行残しておけば次の月と比べられます。数えられる形になっていないと、よくなったかどうかが分かりません。
この記事で使うテンプレート
本記事は法令および官公庁の公表資料をもとに整理した参考情報です。法令への適合を保証するものではありません。実際の義務内容は e-Gov法令検索および所管官庁にご確認ください。内容は2026-09-30時点のものです。