宿泊者名簿の外国人の欄|「日本国内に住所を有しない」かで決まる
外国人だから書く、ではありません。条文は「日本国内に住所を有しない外国人」としています。
日本に住所がある外国人は、この欄の対象になりません。
| 宿泊者 | 国籍・旅券番号 |
|---|---|
| 日本人 | 書かない |
| 日本国内に住所がある外国人 | 書かない |
| 日本国内に住所を有しない外国人 | 書く |
この記事の内容(7項目)
- 宿泊者名簿の外国人の欄は住所で決まる
- 2つの条件が重なっている
- 旅館業と民泊で同じ
- 住所の欄が先にある
- 判定は宿泊者ごと
- 迷ったら住所を確かめる
- 日本に住所のある外国人は多い
- 住所が国外の日本人はどうか
- 宿泊者名簿に書くのは国籍と旅券番号の2つ
- 旅券の写しは条文に出てこない
- 国籍の書き方
- 旅券番号は写し間違えやすい
- 他の項目は任意になる
- 2つとも空にしない
- 旅券を持っていない人もいる
- 書いてもらうか、こちらが書くか
- 宿泊者名簿は宿泊者にも答える義務がある
- 条文の言葉
- 説明できるようにしておく
- 多言語で用意する
- 「正確な記載を確保するための措置」
- その場で確かめる
- 代表者1人にまとめない
- 聞く理由をひと言添える
- 宿泊者名簿の外国人の情報も3年残る
- 個人情報として扱う
- 月ごとに束ねる
- 電子で持つとき
- 提出を求められることがある
- 年数の一覧に載せる
- 誰が見られるかを決める
- 宿泊者名簿の欄を受付の手順に落とす
- 様式で判定を助ける
- 空でよい欄と分ける
- 受付する人に伝える
- 記入例を置いておく
- 毎月まとめて見る
- 予約のときに聞いておく
- 宿泊者名簿の外国人の欄でつまずく3つ
- 1つ目:国籍だけで判定
- 2つ目:片方だけ書く
- 3つ目:空欄の意味
- 直すのは様式のほう
- 直した日を残す
- 4つ目をつくらない
- 受付が交代しても同じになるか
- よくある質問
宿泊者名簿の外国人の欄は住所で決まる
条文の言葉は「宿泊者が日本国内に住所を有しない外国人であるときは」です。
2つの条件が重なっている
「外国人であること」と「日本国内に住所を有しないこと」の両方が要ります。
片方だけでは対象になりません。在留して日本に住所がある人は、この欄を書きません。
旅館業と民泊で同じ
旅館業法施行規則4条の2第3項1号も、住宅宿泊事業法施行規則7条3項も、同じ「日本国内に住所を有しない外国人」という言い方です。
記載事項が違う2つの法律で、ここだけは共通しています。違いは宿泊者名簿は旅館業と民泊で書くものが違うにまとめています。
住所の欄が先にある
どちらの名簿も、氏名と住所が先に来ます。住所を書いてもらえば、国内かどうかはそこで分かります。
順番として、住所の次に国籍・旅券番号の欄を置くのが自然です。
判定は宿泊者ごと
1組で泊まっていても、1人ずつ判定します。
日本に住所のある人と、そうでない人が同じ組に混ざることがあります。
迷ったら住所を確かめる
見た目や言葉で決めるものではありません。書いてもらった住所を見て決めます。
住所が海外なら、この欄の対象になります。
判定を誤りやすい例
- 日本語を話さないから書かせた
- 予約サイトが海外だから書かせた
- 旅券を持っていたから書かせた
条文の見方
- 住所の欄が国内か国外か
- それだけで決まる
- 国籍は先に確かめる条件
日本に住所のある外国人は多い
留学や仕事で日本に住んでいる人は、日本国内に住所があります。
旅行で泊まりに来ても、この欄の対象にはなりません。
住所が国外の日本人はどうか
条文は「外国人であるとき」としています。日本人は、住所が海外でもこの欄の対象になりません。
2つの条件のうち片方が欠けるためです。
宿泊者名簿に書くのは国籍と旅券番号の2つ
条文が挙げているのは、「その国籍及び旅券番号」だけです。
| 項目 | 条文にあるか |
|---|---|
| 国籍 | ある |
| 旅券番号 | ある |
| 旅券の有効期限 | この条文には無い |
| 生年月日 | この条文には無い |
| 入国年月日 | この条文には無い |
| 旅券の写し | この条文には無い |
旅券の写しは条文に出てこない
この記事で確認した規則には、旅券の写しを取ることや保存することの定めが見当たりませんでした。
「写しは要らない」とは書いていません。他の法令や通知に定めがある可能性があるので、保健所などに確かめます。
国籍の書き方
条文は書き方まで決めていません。国名で書くのが通常です。
社内で表記をそろえておくと、あとで数えられます。
旅券番号は写し間違えやすい
英数字が混ざるので、手書きだと読み取りを誤ることがあります。
本人に書いてもらうか、提示を受けてその場で確かめる形にします。
他の項目は任意になる
有効期限や生年月日を欄に置くこと自体は妨げられません。ただし、法定の欄と見分けられる形にしておきます。
混ざっていると、埋め忘れに気づけません。
2つとも空にしない
対象になる宿泊者なら、国籍と旅券番号の両方が要ります。片方だけでは足りません。
受付で確かめます。
旅券を持っていない人もいる
旅券以外の身分証で入国している場合もあります。「旅券番号が無いから空欄でよい」と決めずに、保健所などに確かめます。
この記事で確認した条文には、その場合の扱いは書かれていません。
書いてもらうか、こちらが書くか
条文は「記載し」とだけ定めていて、誰が書くかは決めていません。
正確に残ることが目的なので、旅券を見ながら確かめる形にします。
宿泊者名簿は宿泊者にも答える義務がある
聞くのは営業者の義務ですが、答えるのは宿泊者の義務です。
営業者(旅館業法6条1項/住宅宿泊事業法8条1項)
- 名簿を備える
- 事項を記載する
- 知事の要求があったときは提出する
宿泊者(同6条2項/8条2項)
- 請求があったときは告げる
- 条文に定めがある
条文の言葉
旅館業法6条2項は「宿泊者は、営業者から請求があつたときは、前項に規定する事項を告げなければならない」です。
住宅宿泊事業法8条2項も同じ作りになっています。
説明できるようにしておく
断られたときに、法律で決まっていることを伝えられるようにしておきます。
受付の手元に、根拠を1行書いた紙を置いておけば足ります。
多言語で用意する
対象が外国人なので、書いてもらう欄の見出しを英語などでも出しておくと早く済みます。
条文が求めているものではありませんが、正確に書いてもらうための工夫になります。
「正確な記載を確保するための措置」
どちらの規則も、「正確な記載を確保するための措置を講じた上で作成し」としています。
書かせるだけでなく、正しく書かれる形にすることまでが条文の言葉です。
その場で確かめる
あとから電話で聞き直す形にすると、そのぶん正確さが落ちます。受付で空欄が無いかを見ます。
数秒で終わります。
代表者1人にまとめない
名簿に載せるのは宿泊者です。代表者だけ書いて、同行者を書かない形にはしません。
同行者のなかに対象となる人がいれば、その人の欄が要ります。
聞く理由をひと言添える
「決まりですので」だけだと、身構えられることがあります。法律で記載する事項だと伝えれば、たいていはそこで済みます。
紙に1行書いて受付に置いておけば、誰が対応しても同じ言い方になります。
宿泊者名簿の外国人の情報も3年残る
保存の年数は、名簿全体として作成の日から3年です。
| 旅館業 | 民泊 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 規則4条の2第1項 | 規則7条1項 |
| 年数 | 3年 | 3年 |
| 起算日 | 作成の日 | 作成の日 |
| 国籍・旅券番号 | 名簿の一部として同じ | 同じ |
個人情報として扱う
国籍と旅券番号は、3年残るあいだ、社内で持ち続ける情報です。
置き場所を決めて、鍵のかかるところに置きます。置き方は書類をどこに置くかにまとめています。
月ごとに束ねる
3年で捨てるので、1枚ずつ日付を見る形にすると、毎年その作業が来ます。
月ごとに綴じて、表紙に廃棄できる月を書いておきます。
電子で持つとき
民泊は規則7条4項で電磁的記録に代えられます。旅館業については、この記事で確認した規則4条の2に同様の規定が見当たりませんでした。
電子で持ちたいなら、保健所などに確かめます。考え方は帳簿を電子で残すときにあります。
提出を求められることがある
どちらの法律も、知事の要求があったときは提出するとしています。
3年ぶんのどこを求められても出せる形にしておきます。
年数の一覧に載せる
宿泊者名簿は3年です。他の書類と並べて一覧にしておきます。
一覧は会社に必要な書類の保存年数を業種横断で並べるにあります。
誰が見られるかを決める
旅券番号は、社内の誰もが見る必要のある情報ではありません。名簿を扱う人を決めておきます。
決めておくと、置き場所も自然に決まります。
宿泊者名簿の欄を受付の手順に落とす
判定が2段あるので、様式の作りで迷わない形にします。
様式で判定を助ける
国籍・旅券番号の欄の見出しに、「日本国内に住所がない方のみ」と書いておきます。
書く側も受け付ける側も、それだけで迷いません。
空でよい欄と分ける
日本人と、日本に住所のある外国人は空になります。空欄が「書き忘れ」なのか「対象外」なのかが分からない作りにしません。
見出しの1行で区別がつきます。
受付する人に伝える
判定の基準は住所であって、国籍ではありません。ここを誤ると、対象でない人にまで旅券の提示を求めることになります。
手順に1行書いておきます。
記入例を置いておく
書き方の見本を受付に置いておけば、聞かれる回数が減ります。
多言語の見本があると、さらに早く済みます。
毎月まとめて見る
月に1回、その月の名簿を通して見ます。空欄が続いているなら、様式か手順のどちらかに原因があります。
1人の書き忘れなら本人の話ですが、続いているなら作りの話です。
| 欄 | 見出しに添える一言 |
|---|---|
| 氏名 | 全員 |
| 住所 | 全員 |
| 国籍 | 日本国内に住所がない方のみ |
| 旅券番号 | 日本国内に住所がない方のみ |
予約のときに聞いておく
受付で初めて聞くと、旅券を出してもらう時間が要ります。予約の段階で「日本国内に住所がない方は旅券をご用意ください」と伝えておけば早く済みます。
条文が求めているものではありませんが、受付が詰まらなくなります。
宿泊者名簿の外国人の欄でつまずく3つ
判定と記載で、つまずくところは決まっています。
| つまずき | 何が起きるか |
|---|---|
| 国籍だけで判定している | 日本に住所のある外国人にも書かせている |
| 旅券番号だけ書いて国籍が空 | 2つのうち1つが欠ける |
| 空欄の意味が分からない | 対象外か書き忘れかを区別できない |
1つ目:国籍だけで判定
条文は「日本国内に住所を有しない外国人」です。外国人であることだけでは条件を満たしません。
住所を見てから決めます。
2つ目:片方だけ書く
「国籍及び旅券番号」なので、2つとも要ります。
旅券を見せてもらうと番号は写せますが、国籍の欄を飛ばしてしまうことがあります。
3つ目:空欄の意味
見出しに「日本国内に住所がない方のみ」と書いておけば、空欄が対象外であることが読み取れます。
書いていないと、確かめるまで分かりません。
直すのは様式のほう
3つとも、受付する人の注意ではなく、様式の作りで防げます。
見出しを直すだけなので、次に印刷するときに入れます。
直した日を残す
様式を変えたら、いつから新しい様式にしたかを1行残しておきます。
古い様式のぶんと見比べるときに使えます。
4つ目をつくらない
欄を増やすほど、空欄の意味は分かりにくくなります。条文が求めている2つを確実に埋めることが先です。
社内で使いたい項目は、法定の欄と分けて置きます。
受付が交代しても同じになるか
判定の基準が紙に書いてあれば、誰が受け付けても同じ結果になります。
口で伝えただけだと、交代のたびに薄まります。
よくある質問
- Q. 外国人なら全員、国籍と旅券番号を書きますか。
- 書きません。条文は「宿泊者が日本国内に住所を有しない外国人であるときは」としています。日本国内に住所がある外国人は、この欄の対象になりません。
- Q. 判定は何で決まりますか。
- 国籍と住所の2つが重なったときです。外国人であることと、日本国内に住所を有しないことの両方が要ります。書いてもらった住所を見て決めます。
- Q. 書くのは何ですか。
- 「その国籍及び旅券番号」の2つです。旅館業法施行規則4条の2第3項1号も、住宅宿泊事業法施行規則7条3項も、同じ書き方をしています。
- Q. 旅券の写しは取りますか。
- この記事で確認した規則には、写しを取ることや保存することの定めが見当たりませんでした。「要らない」という意味ではなく、他の法令や通知に定めがある可能性があるので、保健所などに確かめます。
- Q. 旅券の有効期限も書きますか。
- この条文には入っていません。欄を置くこと自体は妨げられませんが、法定の欄と見分けられる形にしておきます。
- Q. 旅館業と民泊で扱いは違いますか。
- 外国人の欄については同じです。どちらも「日本国内に住所を有しない外国人であるときは、その国籍及び旅券番号」としています。他の記載事項(連絡先・職業・宿泊日)は違います。
- Q. 宿泊者が答えてくれない場合は。
- 旅館業法6条2項と住宅宿泊事業法8条2項が、宿泊者は営業者から請求があったときは記載事項を告げなければならない、としています。受付の手元に根拠を1行書いた紙を置いておくと伝えやすくなります。
- Q. 何年残しますか。
- 名簿全体として、作成の日から3年です。外国人の欄だけ別の年数になることはありません。
- Q. 空欄が多いのですが問題ありませんか。
- 対象でない宿泊者は空になります。ただし、空欄が「対象外」なのか「書き忘れ」なのかが分からない作りだと確かめられません。欄の見出しに「日本国内に住所がない方のみ」と書いておけば区別がつきます。
- Q. 受付で気をつけることは何ですか。
- 判定の基準が住所であって国籍ではない、という点です。ここを誤ると、対象でない人にまで旅券の提示を求めることになります。手順に1行書いておきます。
この記事で使うテンプレート
本記事は法令および官公庁の公表資料をもとに整理した参考情報です。法令への適合を保証するものではありません。実際の義務内容は e-Gov法令検索および所管官庁にご確認ください。内容は2026-09-04時点のものです。